欧州

2024.07.19 09:30

ロシア軍、70年前のカノン砲を在庫から大量に引っ張り出す 砲弾は北朝鮮製

旧ソ連製M-46カノン砲。2019年10月、ロシア・イジェフスク(Miraleks / Shutterstock.com)

Highmarsedの推測どおりなら、ロシア軍は火力不足のウクライナ駐留部隊のために、強力だが古くて重いM-46を300両程度引っ張り出したということになる。130mm砲弾はロシアの工場ではもう生産されていないが、北朝鮮の工場では生産されている。ロシア軍の部隊がM-46から北朝鮮製とみられる砲弾を発射している動画や写真が共有されているのは驚くにあたらない。

ロシア軍の北朝鮮製130mm砲弾は、ロシアが北朝鮮と軍事面の結びつきを緊密化した結果、得られたものだ。この結びつきにウクライナと韓国は警戒感を強めており、韓国はウクライナへの財政支援の強化などに動いている。

威力のある砲弾を発射し、射程もそこそこあるM-46は、大砲で大砲を撃破する対砲兵兵器としてとくに有用とされる。米中央情報局(CIA)は2009年、北朝鮮と韓国が保有する大砲を精査した報告書で、北朝鮮のM-46は「朝鮮半島で最も有効な対砲兵兵器」だと説明している。

とはいえ、ロシア軍はウクライナの1000kmにおよぶ戦線でのM-46の輸送や支援に苦労するかもしれない。ロシア軍はウクライナで戦車や装甲兵員輸送車(APC)だけでなく、トラックや大砲牽引車両も大量に失っている。その結果、最近は全地形対応車(ATV)やオフロードバイクなどの民生車両も前線部隊に配備しているほどだ。
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重量1t程度のATVで7.7tのM-46を牽引できないのは言うまでもない。

70年物のM-46を受け取るロシア軍砲兵部隊にとってもうひとつの問題は、その砲弾を外国の援助に依存することになる点だ。現在、130mm砲弾を大規模に生産している国は北朝鮮とイランしかない。

再就役させた古いM-46を戦闘で使い続けるには、ロシアは北朝鮮とイランの機嫌を損なわないように配慮しなくてはならないだろう。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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