初期の実戦で「命中率100%」
スカイノードSの誘導システムでは目標を光学式でロックオンする。ドローンが妨害電波から十分離れている間に、操縦士は目標を特定し、スカイノードSに入力する。そのため、ドローンは操縦士との通信が途切れても「ジャミングバブル」(電波妨害エリア)を通過していくことができる。フランスのピエール・シル陸軍参謀長によると、ウクライナの戦場では現在、ドローンの75%がジャミングで落とされているという。マイヤーによれば、人間が制御するFPVドローンの命中率が20〜40%なのに対して、スカイノードSのAI終末誘導システムの場合、ウクライナでの初期配備段階で100%の命中率を誇ったとのことだ。マイヤーは、百発百中がずっと続くことはないにせよ、人間の操縦士よりは引き続きはるかに高い命中率になるとみている。
つまり、スカイノードSを搭載すれば、FPVドローンの当て損ないの2大原因である電波妨害と操縦士のミスを排除できるということだ。
スカイノードSのような誘導システムがあれば、既存のドローンに比べてざっと4倍の数のドローンが電波妨害エリアを突破でき、AIによるスマート誘導のおかげで命中率も高くなる。FPVドローンのもともと比較的高い撃破率が、このような単純な変更によって劇的に上昇するというのは途方もないことだ。
スカイノードSの現行バージョンではドローンをただ目標に誘導するだけだが、将来的には、目標の最も脆弱な「急所」をAIで見つけ出す照準点選択機能も搭載される可能性が高い。急所は、ロシア軍の戦車で言えば壊滅的な爆発を起こしやすい砲塔後部、自走砲なら砲弾収納部といった部分だ。
基本ソフト(OS)の「オーテリオンOS」はオープンソースなので、新たなアプリも開発しやすい。非営利団体のドローンコードが6月、北大西洋条約機構(NATO)とウクライナの技術者を対象にポーランドのクラクフで開催したハッカソンでは、目標を視覚的に識別し、迎撃のための飛行経路をプロットするシステムの開発が競われた。48時間のこのハッカソンで使われたのも、オーテリオンOSを搭載したスカイノードSの初期バージョンだった。このほど発表された製品と同様のものである。マイヤーは、開発者たちがアプリ開発だけに専念できたのは「世界初のこと」だったと語っている。
だが、スカイノードSでできることはこれらにとどまらない。