一方、こうした法律や綱紀粛正に絡む話とは別に、自衛隊関係者らの耳目を引いたのが、複数のメディアが報じた、ゲーム機「ニンテンドースイッチ」の供与問題だ。なぜかといえば、潜水艦は、非番の時間帯の過ごし方が難しい職場の代表格だからだ。海上自衛隊が保有するディーゼル電気推進型の潜水艦は米国の原子力潜水艦に比べるとサイズが一回り小さい。海上自衛隊ホームページによれば、「たいげい」型潜水艦は「長さ84メートル、全幅9,1メートル、深さ10.4メートル」だ。ここに乗員約70人が乗り込む。もちろん、人だけではなく、エンジンや魚雷など様々な装備も搭載されている。
実際に乗艦した経験を持つ軍事ジャーナリストの柿谷哲也氏によれば、「たいげい」型潜水艦の場合、曹士が使う3段ベッドの1段のサイズは、高さ約60センチ、幅約50センチ、長さ約180センチしかない。トイレは若干広くなったと言われているが、「若い体格の良い隊員が座ると膝がドアにつかえてしまう」(元海自幹部)と言われるほどの狭さだ。しかも、通常動力型とはいえ、数週間単位で海に潜りっぱなしになることもよくあるようだ。水上艦なら、「デッキをジョギング」も可能だし、米軍の大型原潜の場合はトレーニングルームも備えていると言われる。でも、海自の潜水艦はそういうわけにはいかない。そもそも、水も貴重品で「シャワー室の使用は平均3日に一度」(柿谷氏)という状況で、簡単に汗など流せない。