国内

2024.07.20 08:15

潜水艦にニンテンドースイッチは必要か

海自は今春から、艦船の乗組員が遠洋航海中も私物のスマートフォンを使えるよう、米スペースXの衛星インターネットサービス「スターリンク」の運用試験を始めた。だが、海中に潜っている潜水艦の乗員は利用できない。そもそも、ずっと潜りっぱなしだから、今が昼なのか夜なのかわからなくなる。潜水艦では日没から日の出までを赤色灯(赤灯)、昼間の時間帯を白色灯(白灯)に切り替え、体のリズムを壊さないように配慮している。そんな状況だからこそ、非番の時にリフレッシュできないと、当直の時に集中力を欠いた状態になりかねない。このため、乗員は様々な努力を重ねて来た。

複数の海自関係者に聞くと、昔はトランプが、人気があったという。潜水艦だから大声は出せない。ひそかに非番の仲間同士でカードをめくる。文庫本も持ち込むが、スペースが狭いから限界がある。ビデオは人気だという。音が漏れないよう、イヤホンの挿入口をたくさん作り、仲間同士で小さい画面を食い入るように見つめ合う。そんな状況だから、「ニンテンドースイッチがあれば、きっと喜ばれるだろう」と海自元幹部の一人は言う。もちろん、潜水艦に「情報通信機器」の持ち込みはご法度だから、情報通信ができないにしても、「もし、データ取り込み機能などがついていたら、それも外して」という前提がつくかもしれない。それでも、「企業からではなくて、自衛隊の予算で買ってやってもいいくらいだ」(同)。

いずれにせよ、川重の事件のほか、防衛省・自衛隊を巡る不祥事による大量処分によって、自衛隊のイメージが傷ついたことは間違いない。ただでさえ、厳しい労働環境の潜水艦を希望する人も、更に減ることにならないか。柿谷氏は「米海軍からも一目置かれるほど高い技術を持つ日本の潜水艦乗員です。それだけに、これから自衛官を目指す若者の模範となってほしいと思います」と語った。

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文=牧野愛博

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