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2024.07.18 11:00

【米国株ウォッチ】フォード、主力トラックの好調とEV需要の鈍化が追い風に

積極的な株主還元プログラム

フォードの株主還元プログラムは今後さらに改善される可能性がある。同社のキャッシュフローは好調で、2023年におけるフリーキャッシュフローの創出額は、当初の予想を大幅に上回る約68億ドル(約1兆円)に達した。フォードは四半期ごとに約0.15ドルの配当を実施しており、3月には0.18ドルの特別配当も実施した。旺盛なキャッシュフローを考えると、さらなる特別配当の可能性もある。

現在、フォードは年間フリーキャッシュフローの40%から50%を株主に配当する予定である。同社は今年、調整後のフリーキャッシュフローのガイダンスを、当初の60億~70億ドル(約9400億~約1兆1000億円)から65億~75億ドル(約1兆~約1兆1800億円)の範囲に引き上げた。GMは昨年100億ドル(約1兆5000億円)の自社株買いを前倒しで実施したのに続き、最近新たに60億ドル(約9400億円)の自社株買いも発表したが、フォードは同社とは異なり配当を重視する姿勢だ。

株価パフォーマンス

フォードの株価は2021年1月初旬につけた9ドル台から、現在の14ドル前後という水準まで、約55%の力強い上昇を見せた。しかし、フォード株の上昇は一貫しているとは言い難い。2021年のリターンは136%、2022年はマイナス44%、2023年は5%だった。一方、S&P500種株価指数のリターンは2021年に27%、2022年にマイナス19%、2023年に24%であり、フォード株のパフォーマンスは2022年と2023年にS&P500を下回っている。

結論

自動車市場には懸念材料もある。米国の消費者物価は上昇しており、5月のCPIは前年同月比で3.3%上昇した。また、調査会社のJ.D.パワーによると、今年1〜6月の新車平均価格は昨年比で3%下落している。米国の消費マインドが弱まり、高金利により自動車購入にかかるコストが高くなったことから、当面は自動車に対する需要は少し冷え込む可能性がある。とはいえ、フォードのバリュエーションは依然として魅力的であり、現在の株価は2024年の市場予想利益の約7倍で取引されている。私たちは、フォードの目標株価を現在の市場価格より約7%高い約15ドルと評価している。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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