北米

2024.07.17 13:00

トランプが副大統領候補に指名した39歳、J.D.ヴァンスとは何者か?

ドナルド・トランプ前大統領(左)と共和党上院議員のJ.D.ヴァンス(右)

ドナルド・トランプ前大統領(左)と共和党上院議員のJ.D.ヴァンス(右)

ドナルド・トランプ前大統領は7月15日、オハイオ州選出の共和党上院議員のJ.D.ヴァンスを秋の米大統領選の副大統領候補に指名したと発表した。これにより、トランプの強固な盟友で、かつては批判者でもあったヴァンスに注目が集まっている。

現在39歳のヴァンスは、米国海兵隊に入隊しイラク戦争に従軍したのち、オハイオ州立大学を経てイェール大学ロースクールを卒業した。弁護士で元ベンチャーキャピタリストの彼は、トランプの支持を受けて2022年に上院議員に当選した。

ヴァンスは、決済企業ペイパルの共同創業者として知られるピーター・ティールのベンチャーキャピタル、ミスリル・キャピタルに勤務した過去を持ち、2022年の上院議員選挙で、ティールから1500万ドル(約24億円)の支援を受けていた。

ヴァンスが2016年に出版したベストセラーの『ヒルビリー・エレジー―アメリカの繁栄から取り残された白人たち』は、ラストベルトと呼ばれる米国中西部での幼少期を描いたもので、貧しい白人が大多数を占める地方の暮らしを克明に描き、トランプの支持の高まりを説明する著作として注目を浴びた。

彼は、政府による不要な支出の削減、インフレの抑制、米国内での石油とガス生産の促進などを政策に掲げている。ヴァンスはまた、南部国境の保護や移民政策の変更などを優先事項に挙げ、中絶の問題に関しては、「この問題は州が決めることだ」とするトランプの見解に賛同している。

彼は、時おり物議を醸す発言をすることで知られており、13日のトランプ銃撃事件の後、X(旧ツイッター)の投稿で、バイデン陣営がトランプを「どんな手段を講じてでも止めなければならない権威主義的ファシスト」と糾弾したことが、この事件につながったことを示唆していた。

ヴァンスは、以前はトランプを批判していたが、現在ではトランプの擁護者であり、トランプが主張する貿易政策やウクライナへの対外援助の制限などの政策を支持している。彼は、トランプの長男であるドナルド・トランプ・ジュニアとも親密な関係を築いている。

ヴァンスは、2016年の大統領選挙でトランプに投票しなかったと述べており、彼の元ルームメイトはAP通信の取材に、彼がトランプを「皮肉屋のろくでなし」で「アメリカのヒトラー」と呼んでいたと語っていた。

2016年10月にヴァンスは、トランプを「嫌悪すべきだ」とツイッターに投稿し、その当時大統領候補だったトランプの反移民政策や反イスラム政策を批判し、「私が大切に思う人々を恐れさせている」と述べていた。

しかし、ヴァンスは、2021年になるとその姿勢を改めてトランプについての過去のコメントを後悔していると述べ、それがトランプの支持を得ることにつながった。トランプは2022年の選挙でヴァンスを支持した際、「他の人々と同様に、ヴァンスも過去に私についてあまり良くないことを言ったかもしれないが、今では考えを改めている」と述べていた。
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編集=上田裕資

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