貧困が「家族の伝統」の白人
『ヒルビリー・エレジー』は、貧困家庭で育ったヴァンス自身の目を通して低所得の白人労働者階級のカルチャーや社会の問題点に光を当てた作品で、トランプの政治的台頭の中で注目を集めていた。この著作の冒頭で彼は、自身を「米国に何百万人も存在するスコットランド系アイルランド人の血を引く労働者階級の白人」の一人だと定義し、「貧困が家族の伝統になっていた」と語っていた。この著作には、彼の母親と祖父が薬物とアルコールの依存症に苦しんでいたことが描かれている。彼の祖母はある時、アルコール中毒だった祖父に火をつけて殺そうとしたが、祖父は生き延びて、2人はその後も一緒に暮らしていた。この著作は、2020年にネットフリックスで映画化された。
トランプがヴァンスを副大統領候補に指名した後、バイデン陣営の責任者であるジェン・オマリー・ディロンは、ヴァンスが「トランプのクローンだ」と述べて、敵対心をあらわにした。ヴァンスは過去に、中絶の全面禁止を支持し、2020年の大統領選挙の結果を認めない立場をとっていた。彼はまた、同性愛者の結婚に反対であることや、移民に対する見解でも民主党から批判されていた。
2022年にオハイオ州の民主党は声明で、ヴァンスを「上院議員としては危険すぎる人物」とし、その理由の一つを、彼が「女性が自身で正しい決定を下すことができないと思っていることにある」と述べていた。このコメントは、ヴァンスが「たとえ暴力に満ちた結婚生活であったとしても、子供のことを考えれば離婚は控えるべきだ」と発言したことに関連しているが、ヴァンスの陣営は、彼の発言が文脈を無視して切り取られたと反論していた。彼は、かつては中絶の全面禁止を訴えていたが、最近は中絶薬ミフェプリストンへのアクセスを支持している。
また、2022年にヴァンスは、同性婚や異人種同士の結婚が連邦法で合法化されたことを支持しないと述べ、この法律が、「他の問題から奇妙なやり方で目をそらすためのものだ」と述べていた。ヴァンスはまた、トランプが敗北した2020年の大統領選挙の結果を、自身が当時の副大統領だったマイク・ペンスの立場であったならば、認めていなかっただろうと語っていた。
(forbes.com 原文)