経営・戦略

2024.07.17 09:30

ユニクロのファーストリテイリングが「世界の消費者の心を掴む」理由

英国ロンドンのリージェントストリートにあるユニクロの旗艦店。売上収益は前期比11.0%増の3兆700億円、営業利益は24.6%増の4750億円と、日本の巨大小売企業ファーストリテイリングが世界的に著しい躍進を遂げていることは明らかだ。(Shutterstock)

繊維業に根差した遺産

ファーストリテイリングの成功は、賢明なブランド戦略と製品開発のみならず、その歴史にも深く基づいている。1963年に繊維を扱う会社として山口県で創業したファーストリテイリングは、繊維に関する深い知見を活用し、絶え間ない革新を行ってきた。この基盤によってファーストリテイリングは、顧客を継続的に惹きつける独自の織物技術を開発することが可能だった。
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一時的な流行にとらわれず、スタイルと機能性を最重視することで、ファーストリテイリングは成功を持続させるための強固で堅実な基盤を築き上げている。

魅力を増幅させる戦略的提携

ファーストリテイリングはまた、ディズニーやスター・ウォーズ、そして現在ではテニス界のレジェンド、ロジャー・フェデラーのように、世界的に知られるブランドと如才なく提携している。これらのコラボレーションによって独占的なコレクションが生まれ、販売を牽引すると同時に国際市場において同社のブランドの魅力を高めることにつながっている。これらのシリーズ作品やキャラクターの熱心なファン層を利用し、ファーストリテイリングはより幅広い客層を惹きつけ、国際的な足跡を広げることに成功しているのだ。

H&Mに迫る売上高

現在、アパレル製造小売業で世界第3位のファーストリテイリングは、第2位のH&Mに迫っている。時価総額ではすでにH&Mを上回っているものの、売上高でスウェーデンの巨大企業であるH&Mを追い越すことが目下の課題だ。ファーストリテイリングの、特に北米、欧州、東南アジア地域における積極的な国際展開は、引き続き確実な地歩を築いていくことになるだろう。

今後の展開

ファーストリテイリングが将来を見据えるときに重視することは、国際的な存在感を高め、継続的に革新的な製品を提供していくことに、おそらく変わりはないだろう。同社は今後、高成長が見込める市場へのさらなる進出、店舗作業のデジタル化と売上高の拡大、そしてサステナビリティ(持続可能性)に向けた取り組みの強化を計画している。

成長と革新を続け、この日本の巨大小売企業は世界のファッション産業を再形成する道を順調に進んでいる。

forbes.com 原文

翻訳=日下部博一

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