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世界最大の「カーボンネガティブ蒸留所」誕生、米アスペン・ウォッカ

Getty Images

Aspen Vodka(アスペン・ウォッカ)は2021年の創業以来、社名を取っている米コロラド州の地元のクラフト好きな人々に愛されてきた。だが今、同社は賞を獲得した自社製品を全米各地の市場に投入する準備が整った。しかも、前例のない持続可能性をもって実現しようとしている。同社は7月16日、世界で初めてLEED認証の「v4 BD+Cプラチナ」を取得したと発表した。米グリーンビルディング協会による建築物のエネルギー効率に関する最高ランク(80ポイント以上)だ。

今年はアスペン・ウォッカにとって飛躍の年となっている。今回の発表の前には、「サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション2024」で栄誉ある最優秀金賞を受賞した。間もなく同社のウォッカはアリゾナ、カリフォルニア、フロリダ、イリノイ、ネバダ、ニューヨーク、テキサス各州の店頭に並び、約30ドル(約4800円)で販売される。地元ロッキー山脈産の遺伝子組み換えでない小麦のみを原料とし、クリーミーな口当たりに仕上げている。柑橘類とアニスのほのかな香りが丸みのある味わいにアクセントを加えている。

蒸留のプロセスをすべて環境に優しいものにするために、広さ1万8000平方メートルある蒸溜所は敷地外に設置しているソーラー発電設備と蓄電池を利用し、消費する以上のエネルギーを生み出している。具体的には、必要な電力の105%がソーラー発電で賄われている。さらに、8エーカー(約3万2400平方メートル)ある敷地の半分以上を再生可能な農業に使用し、そこで栽培された食材を地元の調理業者や自社の試飲室を訪れる人に提供している。

アスペン・ウォッカはまた、Aquacycl(アクアサイクル)という最先端の技術で産業廃水を処理する企業と提携して「バイオ電気化学処理技術」を導入している。これにより、蒸留の過程で排出される水は、二酸化炭素を排出することなくその場で処理されて近くを流れるロアリングフォーク川に戻される。

アスペン・ウォッカの創業者マシュー・パテルは、今回の認証の取得について「野心的かつ革新的な環境対策で業界をリードしていることに大きな誇りを感じている」と話す。「世界で最もクリーンな蒸溜所で、比類なき品質の高級ウォッカを製造することは、持続可能性の新たなベンチマークとなる」

パテルのこうした取り組みは、真剣な投資家たちの注意を引いている。今年初め、アスペン・ウォッカは製品の販売を加速させるため、蒸溜所の成長を支援するWES Brands(WESブランズ)と提携した。同社はすでにフレチャ・アズール・テキーラ、フレイザー&トンプソン・ウイスキー、BSBフレーバードウイスキーなど名だたる商品の販促を手がけている。

パテルは自社の成功がこの分野のスタートアップの手本となることを願っている。「LEEDv4 BD+Cプラチナ認証の取得は、当社が品質と環境保全の両方に尽力していることの証」「同業他社が持続可能な取り組みを推進するきっかけになることを願っている」とパテルは話す。

アスペン・ウォッカの急成長は、経済面と環境面のニーズに同時に応えることができることを明確に示している。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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