自動車専門の米評価機関ケリー・ブルー・ブック(KBB)によると、今年第2四半期(4〜6月)に米国で販売されたEVは33万463台で、前年同期比11.3%増、前期比23%増だった。新車販売全体に占める割合は8%と過去最高だった前年同期の7.2%を上回った。
この販売増は、かつてEV部門の健全性を示す指標だったテスラの販売状況とは真逆だ。同社の第2四半期の販売台数は前年同期比で6.3%減少した。KBBのデータによると、同社は現在、米国におけるEV販売台数の49.7%を占めており、2022年の75%から下がっている。
「EV販売は予想を上回り、記録的な四半期となった。競争の激化で価格に下げ圧力がかかり続け、EVの普及が徐々に進んでいる」とCox Automotive(コックス・オートモーティブ)のインダストリー・インサイト・ディレクターのステファニー・バルデス・ストリーティは話す。「適切な製品を適切な価格で販売し、優れた消費者体験を提供する自動車メーカーがEV普及をリードしていくだろう」とも指摘する。
テスラのクロスオーバーSUV「モデルY」は全体として販売不振に陥っているが、第2四半期に10万1000台以上を納車し、引き続き最も売れているEVだ。次に売れているEVモデルは同じくテスラのセダン「モデル3」で、販売台数は4万3000台弱。KBBによると、3番目に多く売れたのはフォードの「マスタング・マッハE」で、1万2645台だった。メーカー別では、ゼネラルモーターズの販売台数は1万2645台と、テスラに次いで多かった。
EVに関しては航続距離や公共の充電施設がまだ十分でないなどの制約があるにもかかわらず、競争の激化や大幅な値下げ、一部モデルに対する連邦政府の最大7500ドル(約118万円)の税額控除が販売台数を押し上げた。
さらに、新型コロナのパンデミックに端を発したサプライチェーンの混乱で生産が低迷していた間、ほぼなくなっていた自動車メーカーのキャッシュバックも今では復活。復活どころか、これまで以上に行われている。一部のモデルでは販売促進のために7500~1万ドル(約118〜158万円)ものキャッシュバックや、ゼロ金利のローンなどが宣伝されている。同様に、リースも最近魅力的なものになっている。前述の連邦政府による税額控除が適用されないEVを扱うメーカーの多くが、リース契約を通じて7500ドルのインセンティブを提供している。
(forbes.com 原文)