サイエンス

2024.07.17 16:00

パートナー以外の人に「恋心」を抱くのは危険? 今後を占う2つの質問

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パートナー以外の人にときめいて、のぼせあがってしまうあの気持ち、いわゆる「クラッシュ」は、多くの人にとっておなじみの経験だ。真剣につきあっている相手がいる人でも無縁ではない。そうした気持ちは、仲間や同僚や友人、さらには、セレブリティのようなまったくの他人に向けられることさえある。

だが実際のところ、その気持ちは何を意味しているのだろうか? 無害な白昼夢なのか? それとも、あなたの恋愛関係の安定を脅かしかねないものなのか?

ここでは、あなたのクラッシュが害のないちょっとしたクラッシュなのか、それとも、現在の恋愛関係の危機を告げる兆しなのかを見極めるために自問したい、2つの問いを紹介しよう。

1)行動に移したい?

Journal of Social and Personal Relationships誌で発表された2021年の研究では、真剣につきあっている相手がいる人は、クラッシュした相手に、自分の気持ちを伝えようとは思っていないことがわかった。つまり、もっと深い関係に発展させたり、現在の恋愛関係にとって代わったりすることを期待していないのだ。これは、つきあっている相手がいないシングルの人とは違う在り方だ。

研究チームによれば、パートナーがいる人のほとんどで、クラッシュは、戯れの夢想と同じような、つかの間の表面的なものにとどまり、本気で相手を追いかける意図はないという。大切な関係を維持するために、そうした自制が行われるのだ。

研究チームは、こう説明している。「クラッシュは実際には、好ましいパートナーと結ばれる結果につながるようには意図されない可能性がある。これは、幼若期の動物における遊びのケンカが、実際の闘争やケガを負わせることを意図していないのと似ている。クラッシュは、必ずしも問題に直結するものではなく、恋愛関係の支障や崩壊の前兆だと決まっているわけでもない。別の人に惹かれるというのは、不貞が生じるための必要条件だが、十分条件ではない」

とはいえ、すべてのクラッシュが、例外なく無害というわけではない。ここで自問すべきなのは、「行動に移したいか?」という重要な問いだ。

感情的にせよ肉体的にせよ、クラッシュした相手との、もっと深い関係を追い求めたいという気持ちがあるなら、それは、現在の恋愛関係に潜在的な問題があることを示している可能性がある。

例えば、不満、充足感の欠如、パートナーに対する気持ちの揺れ、満たされない感情的ニーズといった問題があなたを駆りたて、不貞という手段で関係を破壊する方向へと導いているのかもしれない。

考えるべきもう一つの重要な要素は、排他性(パートナー以外の相手とは関係をもたないこと)に関するパートナーとの合意と、双方にとって何が「一線を越える」に相当するのか、という点だ。恋愛関係において、誠実さと、相手を尊重する気持ちを保つためには、そうした考えをオープンに伝え、明快な境界線を引くことが欠かせない。

2)現在の恋愛関係にどう影響している?

2021年の研究の参加者は、クラッシュが主に良い心理的影響をもたらした、ということも報告している。

「研究参加者は、クラッシュが日常生活に、楽しさやワクワクした気持ちを付け加える、とする項目に、『最も強く同意する』と回答した。パートナー以外の人に惹かれることで、現在の関係に良い影響があった、最も重要なパートナーに対する欲望や惹かれる気持ちが大きくなった、自分の人生は完璧だと感じるようになった、とする項目に同意する傾向は、男性の方が強かった」と研究チームは書いている。

一方で、罪悪感や衝突の増加、さらにはパートナーに対する満足感の減少など、悪い結果を経験した人もいる。そのためクラッシュが、自分やパートナー、そしてふたりの関係にどう影響しているか、どう対応すべきかを自問することは大切だ。
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翻訳=梅田智世/ガリレオ

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