サイエンス

2024.07.17 18:00

カバは高速で移動すると「宙に浮く」、研究結果

なぜそれほど謎なのだろうか?

「カバが非常に危険であること、夜間に最も活動的であること、そしてほとんどの時間を水中で過ごすことが理由です」

歩くことしかできないゾウや、歩いたりトロットしたりギャロップもできるサイとは対照的に、高速で移動しているカバがトロットを行っていることがビデオ分析で明らかになった。トップスピードで動く時でも、カバはトロット(あるいはトロットに近い)足の運びをするが、走行中のある時点で、四足が同時に地面から離れるという変わった特徴があり、これは15%の確率で起こる。

「カバが高速で移動するときに宙に浮いていたのは、うれしい驚きでした。あれは実に印象的でした」とハッチンスンは声明で語る。

高速トロット中に宙に浮くのは新発見であり、カバ固有のものだ。「カバが飛ぶ」のはわずかな時間であり、1回の継続時間は約0.3秒だ。そしてハッチンソンとプリングルが詳細な分析を行なっても、カバがギャロップで走るところを見ることはなかった。カバはトップスピードでも、トロットを行っていた。

カバの四足の接地パターン。写真左から右、上から下へ:1. 左後肢接地、2. 右後肢接地、3. 左前肢接地、4. 左前肢離地、5.  右前肢接地、6. 右前肢離地。接地パターンは理想的なトロットと多少異なるが、接地順序は(左後、右前)、(左前、左後)が守られている(DOI:10.7717/PEERJ.17675)

カバの四足の接地パターン。写真左から右、上から下へ:1. 左後肢接地、2. 右後肢接地、3. 左前肢接地、4. 左前肢離地、5. 右前肢接地、6. 右前肢離地。接地パターンは理想的なトロットと多少異なるが、接地順序は(左後、右前)、(左前、左後)が守られている(DOI:10.7717/PEERJ.17675)

「カバはトロットだけを行う非常に稀な四足動物です」とハッチンソンは説明する。

ハッチンソン教授とプリングルは、カバが水中でも同じように移動することを報告している。泳ぐことはできないが、川底を高速でトロットすることができる。

一連の発見は、カバの飼育方法、特に健康問題を抱えているかどうかを検出し、監視するのに役立つ可能性がある。



しかしながら、驚くべきことに、コビトカバが実際にギャロップしているところを撮影した動画も見つかった。この動画は、赤ちゃんカバやコビトカバのように小さなカバはギャロップできるが、体が大きくなるとその能力を失うのだろうか? それはなぜか? という新たな研究テーマをハッチンソンにもたらしている。

出典:John R. Hutchinson​ and Emily V. Pringle (2024). Footfall patterns and stride parameters of Common hippopotamus (Hippopotamus amphibius) on land, PeerJ 12:e17675 | doi:10.7717/peerj.17675

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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