アジア

2024.07.15 08:00

物価の伸び悩みに喘ぐ中国、長引く「消費の低迷」

canghai76 / Shutterstock.com

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中国の指導部は最新のインフレ率を見て不安になっているはずだ。物価が全く上昇していない事実は、不動産危機が中国の唯一の経済問題ではないことを物語っている。同時に、生産者物価指数(PPI)の下落は政府が中国経済を根本的に歪めていることを示している。
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中国国家統計局によると、6月の消費者物価指数(CPI)は前年比でわずか0.2%の上昇だった。この数字は0.4%上昇という市場予想、そして前月の0.3%上昇を下回るものだった。インフレに苦慮している国々ではこのような数字は歓迎されるかもしれないが、中国のように個人消費を何としてでも刺激する必要がある経済においては政策の失敗を物語っている。

一方、中国の統計専門家らが「ファクトリーゲート」と呼び、一般には生産者物価指数と呼ばれる6月の指数は前年から0.8%下落し、21カ月連続のマイナスとなった。この持続的な下落圧力は供給過剰を物語っている。中国の工場は国内外の人が望む以上の量を生産している。

こうした問題の根底にあるのは中国国内の消費意欲の低迷だ。人々が財布の紐を締めるのは驚くことではない。賃金そのものは下がったわけではないが、経済全般の減速は実質賃金を下げ、長く続いた高度経済成長期に形成された期待を裏切っている。こうした事態の皺寄せは主に中・低所得者層にいった。
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新型コロナのパンデミック時の都市封鎖や工場閉鎖、その後長く取られたゼロコロナ政策により、中国の労働者が自分たちの所得は以前考えていたほど確実なものではないと痛感したのは間違いない。それに伴い、消費者マインドは悪化し、消費意欲は低下した。これだけでも十分だが、さらには不動産危機により住宅の価値が下がった。中国の大手不動産会社100社のデータでは、住宅価格は1年前から17%ほど下がっている。ほとんどの人は資産の大半を住宅につぎ込んでいるため、消費意欲は一層減退した。

生産者物価指数の下落はさらに不吉だ。中国政府は昨年、消費があまりに低調であることに業を煮やし、中枢部が将来を支配すると考えた分野、例えば高度な電子機器やバッテリー、電気自動車(EV)、太陽電池などの製造能力を強化することで景気浮揚を図った。

だが、生産者物価指数の下落から明らかなように、この生産能力増強に対する需要は不十分だ。おそらくどのような状況下でも需要不足の問題は生じていただろうが、西側諸国が中国からの輸入を制限する措置を取ったために、この問題は特に深刻になっている。米国と欧州連合(EU)は中国製のEVやバッテリー、太陽電池に関税を課している。米国の措置は欧州より広範かつ攻撃的だが、どちらも行動に移している。
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翻訳=溝口慈子

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