この判決は、近年の詐欺容疑で起訴されたテック企業の創業者に対するものとしては最も厳しい部類に入るもので、昨年11年の実刑判決を受けたセラノスのエリザベス・ホームズに次ぐものとなった。
カーチナーは、Slyncのために8000万ドル(約127億円)以上を調達したが、その大部分を個人的な支払いに充てていた。彼は、禁固刑に加えて6500万ドル(約103億円)の賠償を命じられた。
フォーブスは、2022年7月の記事でカーチーが会社の収益を過大報告し、彼の欺瞞を警告しようとした幹部を解雇したことを報じていた。彼は、ベストバイで数年間勤務した後の2017年にSlyncを立ち上げ、DHLやキューネ・アンド・ナーゲルなどの物流大手との契約で初期の成功を収めた。その後、ゴールドマン・サックスとブラムバーグ・キャピタルの主導で8000万ドルを調達した同社の評価額は2億4000万ドルとされていた。
しかし、会社の成長が止まり、資金調達にも苦戦する中で、カーチナーは1600万ドル(約25億円)のプライベートジェットや高級車を購入し、豪華なスポーツイベントに飛び回り続け、その一方で、従業員の給料を未払いにしていた。
彼は昨年2月にダラス近郊の豪邸で連邦捜査局(FBI)の捜査官に逮捕され、司法省と米証券取引委員会(SEC)から複数の詐欺容疑で起訴された。起訴内容には、6700万ドル(約106億円)以上の証券を不正流用し、そのうち2800万ドル(約44億円)以上を個人的な支払いに充てたとする告発が含まれていた。カーチナーは1月の陪審評決で有罪判決を受けていた。
Slyncの取締役会は、カーチナーを解任した後に、ゴールドマン・サックスから2400万ドル(約38億円)の追加の資金を調達したにもかかわらず、昨年事業を閉鎖していた。
(forbes.com 原文)