米欧の競争当局は、OpenAIとハイテク大手の関係について反トラスト法(独占禁止法)の調査を開始すると報じられており、これらの2社は取締役会から距離を置くことで、OpenAIへの支配力がないことを強調する狙いがあると見られている。
「今回のマイクロソフトの決定は、同社や他のハイテク大手に向けられた当局の監視に強く影響されている」と、英国の法律事務所フラッドゲートのパートナーであるアレックス・ハフナーは、フォーブスにコメントした。
欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は6月に、マイクロソフトとOpenAIの提携は合併ではないため、EUの正式調査の対象にはならないと結論づけた。しかし、EUは、両社の関係について引き続き調査中であることを明らかにしており、依然として、「ハイテク大手がAIプロバイダーと作り上げた複雑な相互関係」に注目している。ハフナーは、この動きを踏まえ、マイクロソフトやその他の企業が今後、「AIプロバイダーとの関係をどのように構築していくかを慎重に検討する必要がある」と述べている。
シリコンバレーのハイテク大手は、過去10年にわたり最小限の独占禁止法の監視下で繁栄してきたが、近年は、各国の独禁法当局からその絶大な影響力や規模に対する監視の目を向けられている。
2022年末のChatGPTの登場により始まった生成AIブームは、ハイテク大手と新興企業がより高度なAIツールを競う競争を引き起こし、当局は、マイクロソフトやエヌビディアのような巨大プレーヤーが小規模なプレーヤーを妨げる可能性を懸念している。
マイクロソフトは、OpenAIへの投資だけでなく、同社がAI分野のユニコーン、Inflection AI(インフレクションAI)と締結した契約に関しても、反トラスト法の調査に直面している。
また、グーグルは、サムスンのスマートフォンに自社のAIツールであるGemini(ジェミニ)をプリインストールする計画についての調査を受けており、アマゾンはAnthropic(アンソロピック)への40億ドル(約6464億円)の投資についての調査を受けている。
(forbes.com 原文)