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宇宙

2024.07.11 10:30

1.2万年前に北米上空で彗星が爆発、地球が急激に寒冷化 新証拠を発見

地球に衝突する巨大な彗星を描いた想像図(Getty Images)

約1万2800年前、温暖化傾向にあった当時の地球に「ヤンガードリアス」と呼ばれる一時的で急激な寒冷化が起きたのは、大気中で彗星が爆発し、全球的な気温低下を引き起こしたことが原因との説が提唱されている。このいわゆるヤンガードリアス衝突仮説を裏付ける新証拠を発見したとする研究結果が発表された。

学術誌Airbursts and Cratering Impactsに掲載された、今回の研究をまとめた論文では、米東部のニュージャージー州、メリーランド州、サウスカロライナ州の離れた3カ所で、古代の天体衝突を示唆する証拠が見つかったことを明らかにしている。証拠として挙げられているのは、白金、溶融ガラス、衝撃石英(衝撃波を受けて亀裂が入った石英の粒子)などで、これらは全て彗星の「空中爆発」に関連する種類のエネルギーと高温を示唆している。

これは、地表近くで原子爆弾が爆発した際に生じるものに似ている。

「タッチダウン」空中爆発

巨大な小惑星や彗星であれば、地球に衝突してクレーターを形成するが、大半は火球として大気中で爆発する。論文の共同執筆者で、米カリフォルニア大学サンタバーバラ校名誉教授のジェームス・ケネットは「圧力と温度が、クレーターを形成する大規模な天体衝突に特徴的なものではなく、ほとんどクレーターを形成しない『タッチダウン』と呼ばれるタイプの空中爆発と一致していることが、今回の研究で明らかになった」と説明している。

溶融ガラスで満たされた特徴的な亀裂が入った衝撃石英の粒子。低高度での火球の空中爆発に由来すると考えられる圧力と高温が同時に及ぼされた証拠とされる(UC Santa Barbara)

溶融ガラスで満たされた特徴的な亀裂が入った衝撃石英の粒子。低高度での火球の空中爆発に由来すると考えられる圧力と高温が同時に及ぼされた証拠とされる(UC Santa Barbara)

この彗星の空中爆発によって発生した山火事により、北米に生息していたマンモスや巨大な地上性ナマケモノなどの大型動物が絶滅した可能性もあると考えられている。

多数の破片

この空中爆発では、直径約100kmの彗星が多数の破片に分裂した可能性が高い。北半球の各地にある堆積層に、イリジウムや白金、溶融ガラス、ナノダイヤモンドなどの天体衝突に関連する物質が含まれている理由は、これで説明できるだろう。
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翻訳=河原稔

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