北米

2024.07.12 08:00

米国で広がる「学校でのスマホ禁止」、各州が相次ぎ法案提出

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米国の各州で学校での携帯電話の使用を禁止する法案が相次いで提出されている。同様な法案の策定を目指すバージニア州のグレン・ヤンキン知事は7月9日、州内の学区に対し、携帯電話の使用制限に関するルールを独自に策定するよう要請した。

これを受け、バージニア州の教育省は、子供の携帯電話の使用時間を制限するための施策のガイダンスを学区向けに作成する。同州の方針は、学校内での携帯電話の使用を全面的に禁止するものではないが、ヤンキン知事は、「携帯電話やSNSが教育や青少年のメンタルヘルスに与える影響が懸念されている」と述べ、何らかの制限を設けるよう呼びかけた。

バージニア州の制限は、来年1月に発効すると同知事は述べている。同様な法案は、フロリダ州やインディアナ州、ミネソタ州、オハイオ州などですでに成立している。

カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は先月、「子どもたちは携帯電話の画面よりも学業に注意を向けるべきだ」と述べ、州内の学校における携帯電話の使用について、より厳しい制限を設けるよう呼びかけた。同州では、2019年に知事がいくつかの制限を承認した後、複数の学区で携帯電話の使用が禁止された。

ここ1年で、オクラホマ州やワシントン州、カンザス州、バーモント州、コネチカット州、バージニア州、メリーランド州、アリゾナ州、サウスカロライナ州などでも授業中の携帯電話の使用を禁止する法案が提出された。ニューヨーク・タイムズ(NYT)によると、ニューヨーク州のキャシー・ホークル知事も、来年この制限を提案する意向を示している。

非営利団体Common Sense Mediaの調査によると、ティーンエイジャーの約97%が学校内で携帯電話を使用しているという。全米教育統計センターによると、携帯電話の使用を制限していると回答した米国の学校の割合は、2021年から2022年にかけて77%に達していた。

4月にピュー研究所が行った調査でも、米国の高校教師の約72%と中学校教師の約33%が、携帯電話が原因で授業中に注意力が散漫になることを、「大きな問題」だと回答していた。

一方、携帯電話の使用制限は「緊急時に携帯電話が必要だ」と主張する保護者の反発を受けており、一部の学校関係者は規制の実施が難しいと述べている。

そんな中、米国の公衆衛生政策を指揮するヴィヴェク・マーシー医務総監は、6月のNYT紙への寄稿で、、「ソーシャルメディアは青少年の精神衛生に重大な悪影響を及ぼす可能性がある」という警告ラベルを各プラットフォームに貼ることを義務付けるべきだと主張していた。

forbes.com原文

編集=上田裕資

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