成長している理由の一つは、家具を扱うオンライン店舗が実店舗よりアクセスしやすく、24時間いつでもショッピングを楽しめることだ。
人々がネットで買い物する最大の理由の一つは利便性であることを考えると、このアクセスのしやすさは重要だ。市場調査会社Statista(スタティスタ)のデータによると、消費者の半数が店舗に行くより便利という理由でネットでの買い物を好んでいる。
デクラン・イーは実店舗での家具購入の難点を実際に体験し、これがデジタルファーストの家具小売ブランド、Castlery(キャスラリー)の共同創業につながった。
シンガポールで家具を購入した際、イーは次々と腹立たしい思いをしたという。「購入に至るまでのプロセスにはイライラさせられ、時間もかかった。複数の店舗に足を運ぶと、そこでは支離滅裂な値引き交渉があり、どれが正しい価格なのかと疑問に思わざるを得なかった」
加えて、イーは商品が届くまで長く待たされたり、いつ配送されるのか明確でないことが多いことにも気づいた。キャスラリーを立ち上げるにあたり、イーとそのパートナーたちは効率的な商品の流れとサプライチェーン管理に注力したいと考えた。
その結果、シンガポールで設立され、アジアにサプライヤーの工場を持つ同社は2019年の創業以来、米国を含む6カ国に進出した。現在では海外事業が全売上の70%を占める。
海外の需要に対応するため、キャスラリーは海運大手Maersk(マースク)のような世界的な総合物流企業と提携し、配送を最適化できるよう戦略的な場所に配送センターを設置した。
米国では4カ所に物流センターを置いている。各センターの面積は4万6500平方メートル以上と、全米各地へ迅速に商品を届けられるだけの十分な在庫を持つことができる。
商品配送に関する情報を顧客に提供するために、キャスラリーのウェブサイトでは各商品のリアルタイムの在庫状況と、郵便番号に基づいて特定の地区への配送にかかる時間を表示し、顧客が配送所要日数と予想される配達日を明確に把握できるようにしている。
小売コンサルティングのRetail Minded(リテイル・マインデッド)の創業者で社長のニコル・レインバッハ・ホフマンは「購入完了時に配送に関する最新情報が提供されることで、顧客は待っている品が手元に届くという信頼感を持つ」と語る。
「家具を販売する業者にとって、受注から配送までにかかる時間や、時間がかかる要因、配送に関して平均より時間がかかる可能性のある商品を特定できるのは理想的だ」とも指摘する。