経営・戦略

2024.07.16 08:00

徹底した顧客第一主義、オンライン家具の新星「Castlery」に学ぶ

ArDanMe / Shutterstock.com

このレベルの透明性と顧客への情報提供を維持するには、社内の専門チームが最新のデータインサイトを使って在庫とコストを監視し、最適化しなければならない。
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データサイエンティストのチームは毎週、需給の変化に対応するために在庫予測を行っている。グローバルの在庫を正確に予測することで、人気商品の在庫を常に維持し、主要市場に2週間以内に配送できる。

だがキャスラリーが絶えず進化する顧客のニーズに応えるために取り組んでいるのは商品管理だけではない。客の76%が商品をパーソナライズしてくれる企業を好むという事実から、同社はカスタマイズ可能な家具を提供している。

都市で暮らす人は特に居住空間に合うサイズの家具を必要とすることが多い。キャスラリーは製品の設計を顧客の好みに合わせられるようにしている。例えばソファの場合、「家具コンフィギュレーターツール」で8つの異なるモジュール式の座席オプションから選べるようになっている。そのため、住まいのスペースに応じてソファの座面を増やしたり、減らしたりすることが可能だ。
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キャスラリーは2017年半ばにオーストラリアに進出した際、顧客のニーズを把握することがいかに重要かを知った。現地の市場を把握していなかったために、3年連続で赤字となった。

この経験で教訓を得た同社は綿密な市場調査を行い、手始めに顧客からのフィードバックに基づいて開発した小型の製品を投入して米国市場にうまく参入した。

「米国の消費者の大半が大きめの家具を求めていることに気づき、ニーズに応えるコレクションを作った」とイーは話す。「このアプローチを米国外でも取り入れたことで、2020年から2022年にかけて当社は大きな成長を遂げた」

それ以来、顧客第一のアプローチは事業運営面だけでなく商品開発にも欠かせないものとなった。

たとえば、2024年夏のコレクションには、ソファの背もたれ部分の拡張となる、カスタマイズ可能な製品「ソファヘッドレスト」がある。顧客の要望に応えて開発したものだ。

キャスラリーは家具分野のブランドがいかにEコマースの物流と顧客の期待の変化という課題に取り組むことができるかを示す格好の例だ。同社は家具販売という巨大な産業においてシェアを伸ばすことを目指しつつ、顧客の意見を取り入れ、製品に関するフィードバックを活用し、そして製品の配送を明確に示すことで課題に取り組んでいる。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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