鉄則3:提案書の修正力や対応スピードで大逆転も起きる
提案デリバリーの鉄則も2つ見て来たところで、最後にもう一つ、重要な鉄則があると言います。それは、ズバリ、提案後の「提案書の修正力」。「提案経験が豊富な方はわかってもらえると思いますが、初回提案の一発目で受注に至ることはほぼありません。かなりの確率で提案内容の修正依頼が来ます」
わかります。私の経験上でも、自分の提案が「一発決定」になったことはありませんし、提案を受ける立場で「一発決定」をしたこともありません。
「意外かもしれませんが、この提案書の修正力やスピード感が、勝負を決するケースが少なくないのです。最低評価だったコンサルファームが、初回提案からまったく違う提案に素早く修正し、大逆転をするケースもいくつも見てきました」
たしかに自分がクライアント側だったら、こちらの意図を的確に汲み取ってくれる理解力、また迅速に対応してくれるスピードは、非常に心強いものですよね。
逆に、こちらのリクエストが正しく反映されず、また修正提案が来るまで時間がかかると、例えどんなにビューティフルな提案書が出て来たとしても、「大丈夫か?ウチのことは後回しか?」と思ってしまいます。
提案前夜に徹夜をして提案書を仕上げきるより、初回提案日と翌日にこそ、しっかりチーム時間を確保しておくことが、裏の必勝作戦ですよ!
思いがけぬラスボス、ブレインピッキングも!
関根さんから、勝てる提案書の極意、デリバリーの鉄則をあますところなく聞き出してきましたが、最後になかなか衝撃的な話が飛び出しました。「実は、コンサル提案のラスボスは、これなら“自社でできそう”というクライアント自身なのです。提案を聞いたけど、結局、外部起用せず自社でやってみようとなる確率が15%ぐらいあります」
15%も?! 苦労してきた提案活動が、最後の最後に成就しないというのはなかなかショッキングです。最近はだいぶ減ってきたといいますが、本当は外部起用する気はないのに提案を集めて、知恵を集めるブレインピッキングという悪手をする企業があるそう(そういう信義違反の会社のブラックリストもあるようです!)
そうでなく真剣な外部起用の検討をしていても、
「提案書を見ていたら、自社でやれる気がしてきた」「稟議をあげたら、安直に外に頼らず、まず自力でやってみろと却下された」という理由で、起用に至らないケースがあるというのです。
では、決裁時に、しっかり担当者が社内説得できるためには何が必要なのか。関根さんは1.客観性、2.専門性、3.スピードの3つの要素を挙げます。
「社内で検討を進めようとすると、どうしても過去の失敗や、社内の人間関係などのバイアスがかかり、正しい検討が難しいものです。また他社情報を収集できることも、貴重です。このような第三者だからこその1.客観性の価値を強調しましょう」
「2.専門性は、言うまでもないかもしれませんが、新しい事業領域や技術、自社にはないノウハウなど、テーマが専門的であればあるほど、自社では検討ができない理由づけになります」
「実は、やや注意がいるのが3.スピードです。社内だけで進めるより、外部起用によって推進にかかる時間を買うのは、これまでメジャーな起用理由でした。ただ、最近は、人的資本経営の流れから、最近は時間をかけてでも、外部に頼らずリスキリングや社内人材育成をと言う潮流があります。なぜ外部を使ってでも、スピードを上げるべきか、しっかり伝えたいところです」
最後に勝てる提案書の極意と、提案デリバリーの鉄則をまとめます。
提案書の極意
極意1:行間から溢れ出る徹底的な”寄り添い型”で、顧客の心を掴む
極意2:斬新なアイデアに走らず、解決策のはじめの一歩を示す
提案デリバリーの鉄則
鉄則1:顧客に50%以上、話してもらう
鉄則2:顧客との質疑応答は、専門性、知見をアピールの場
鉄則3:提案書の修正、スピード対応に全力を尽くす
極意と鉄則をしっかり活かし、そしてラスボスを倒して、血と汗と涙の提案活動を成就させましょう!
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