FRBが利上げを開始する直前の2022年6月末、HOGは32ドル前後で取引されており、現在の株価はその水準からわずか2%程度の上昇に留まっている。これに対し、S&P500種株価指数は同期間に約45%上昇した。
米国のインフレと高金利が悪影響
ハーレーの業績不振の一因は、米国のインフレと高金利だ。それにより同社の製品を購入する顧客にとっては購入時のコストが高くなっている。個人消費の伸びも鈍化しているようで、それを示す経済指標は3月に約0.7%の上昇を記録した後、4月は約0.2%と小幅な上昇に留まった。ハーレーの2024年第1四半期の業績も芳しくなく、売上高は前年同期比3%減の17億3000万ドル(約2781億円)、EPS(1株当たりの純利益)は前年同期比16%減の1.72ドルだった。株価パフォーマンス
もう少し長い期間で見ると、HOGは2021年1月初旬につけた35ドル台から、現在の32ドル前後の水準まで、約9%下落したのに対し、S&P500はその約3年間で約45%上昇した。HOGのリターンは、2021年に3%、2022年は10%、2023年はマイナス11%だった。これに対し、S&P500のリターンは、2021年に27%、2022年にマイナス19%、2023年に24%であり、HOGのパフォーマンスは2021年と2023年にS&P500を下回っている。インフレショック前の高値に戻るためには、HOGは現在の水準から約61%上昇しなければならないことを意味する。米国のインフレはここ数カ月間でかなり緩和しており、米連邦準備制度理事会(FRB)が直近の会合でも金利を据え置き、年末にかけて利下げの余地も残していることから、HOGの株価回復について楽観的な見方もある。
さらに、ハーレーが発売した2024年モデルの車両に対する需要も比較的旺盛である。しかし、ミレニアル世代を中心とした同社の既存顧客層が歳を取るなか、次の世代への販売実績は好調という訳ではない。
直近数年間のファンダメンタルズ
ハーレーの年間売上高は、2018年の約57億ドル(約9168億円)から、2020年には約40億ドル(約6435億円)に減少したが、これはコロナ禍でオートバイ販売にも悪影響があったことによるものだ。しかし、そこから需要が回復し、サプライチェーンの問題も徐々に緩和されたため、2021年の年間売上高は53億ドル(約8526億円)、2023年には58億4000万ドル(約9395億円)と回復した。純利益に関しても、2018年の約5億3100万ドル(約854億円)から2020年にはわずか約100万ドル(約1億6000万円)へと激減したが、2023年には約7億700万ドル(約1137億円)まで回復した。同社の財務基盤もそれなりに強固であり、直近の四半期決算の時点で、金融部門の債務を除く長期債務が7億4600万ドル(約1200億円)なのに対して、現金保有額は15億ドル(約2412億円)超となっている。
結論
FRBは2024年中にも利下げをすると予想されており、その金利情勢を踏まえれば、HOGは上昇の可能性を秘めていると考える。私たちはHOGの目標株価を、現在の株価水準よりも約30%ほど高い、43ドルとしている。(forbes.com原文)