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2024.07.12 13:30

「本当の富」を見つけた人に豊かさがどんどんついてくる理由

18年間も世界一だったマイクロソフト共同創業者のビル・ゲイツ(Getty Images)

18年間も世界一だったマイクロソフト共同創業者のビル・ゲイツ(Getty Images)

世の中には「富の源泉」を見つけ、それを夢中になって掘り続ける人たちがいる。ビジネスを作り続ける、こうした「クリエイター」たちは、なぜ富に愛されるのか。


富豪と聞けば、「相続」をイメージする読者諸賢も多いのではないか。 

ここで、下2つの円グラフを見比べてほしい。Forbesの「ビリオネアランキング」を1.相続、2.相続+運用、3.セルフメイド(叩き上げ)の3種類に分け、2001年と2021年の内訳を比較したものだが、20年の間に起きた変化が見て取れるはずだ。21年のビリオネアランキングでは、圧倒的にセルフメイドが増えている。その多くは「起業家」である。


「Reddit(レディット)」共同創業者のアレクシス・オハニアンは、10年前にこの潮流を予見していた。ソフトウェアやソーシャルメディアを基盤に事業を始める起業家を含む「クリエイター(創造者)」たちが増えていたからだ。彼は、「これからはクリエイターの中流層が増える」と予測する。

これはスタートアップシーンに、競争相手が増えることを意味する。「Yコンビネータ」のような育成型の投資会社が焦り、「数打ちゃ当たる」戦略ではなく、潜在性の高い特定の起業家を手厚く支援する方針へ原点回帰するのも当然だ。

売上高1億ドル規模の個人事業主も出てくるかもしれない。実際、YouTuberのMrBeastは、ハンバーガーチェーンを展開できるまでになり、推定5400万ドルも稼いでいる。MrBeastの規模感は難しいものの、多くのクリエイターが成功できるのではないか、とオハニアンは言う。

「僕個人も、起業家精神をもつ起業家がたくさんいる社会に暮らしたい。世の中全体にとってもそのほうがいいと思う」 

今回の特集では、「富の源泉」を見つけて、それを夢中になって掘り続ける人を取材した。掘り続けるとは、ビジネスを作り続ける人であり、「クリエイター」と呼んでもいいだろう。

その人たちを取材する過程で見えてきたことがある。それは金を追い求めた結果、裕福になったのではなく、新しい挑戦をやめずにずっと続けているうちに「豊かさ」がついてきた、というものだ。

ビリオネアランキングで2410位に入った、トリドールホールディングス社長の粟田貴也が、「物をもつことには今もそれほど興味がありません。お金を出すのは、その先に何かが広がっているとき」と語るように、金は“新しい景色”を見るための投資にすぎない。

ビジョナル社長の南壮一郎も、「新しい学びの機会をいただけたことがうれしい」と話す。彼は、米プロ野球MLBの名門ニューヨーク・ヤンキースのオーナーグループの一員になったが、他のオーナーと交わす話はビジネスや金についてではないという。つまり、「富の循環」の輪がどんどん大きくなっていくイメージだ。

新しい景色は、海の上でも広がりつつある。日本の重要無形文化財保持者(人間国宝)の工芸品を豪華クルーズ客船「飛鳥II」で飾り、乗客の富裕層に購入してもらうという試みである。作家は収入が入り、飛鳥IIは場を提供でき、富裕層は工芸品を買えるのだ。三方よしで、それぞれが豊かになれる。

こうした出会いで人間として豊かになり、それで事業が広がり、資産の増加につながっている──。金ではない、「真の富」を探し続けることが裕福になるための道筋なのかもしれない。

文=フォーブス ジャパン編集部

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