T-55はT-72ウラルより20年古い戦車だが、構造ははるかに単純で、修理もしやすいはずだ。
ロシアの古い戦車の在庫には、手がつけられていない「中間部分」がある。比較的新しい戦車や最も古い部類に入る戦車は修復する価値があるが、T-72ウラルとT-72Aのように古く、しかも複雑な戦車は、稼働可能な状態に戻すのにかかる時間と費用に見合わないと判断されているようだ。
OSINTアナリストのリチャード・ベレカーによると、T-72ウラルとT-72Aがロシア軍のT-72の損失に占める割合は10%ほどとなっている。これは前線で使われている数の少なさを考えれば予想される数字だ。
それでも、ロシアがこれまでに保管施設から引き出した100両のT-72ウラルとT-72Aは、月に平均数両失われていることになる。この損失ペースなら、ロシア軍のT-72ウラル/Aは近いうちにウクライナの戦場から姿を消しそうだ。
第1世代のT-72であるT-72ウラル/Aの残りのほとんどは、ロシアの広大な車両置き場に置かれたまま、引き続きゆっくりと腐食していく運命にあるのかもしれない。ロシアは相当切羽詰まった状況にならない限り、かなりの時間と費用をかけてまで、さびついた重量40t強のT-72を再生しようとはしないかもしれない。
一方で、実際にそうした状況に追い込まれる可能性もある。Highmarsedは「ロシアの戦車が具体的にいついつに枯渇するという時点があるとは思わないが、保有戦車は時間の経過とともにゆっくりと、しかし持続的に減っていく可能性が高く、それはロシアの攻撃能力に影響を及ぼすだろう」と書いている。
戦車不足によって戦闘力が徐々に低下していくにつれて、ロシアはいずれ、古くて複雑な戦車であるT-72ウラルとT-72Aも、より古く単純な戦車やより新しく複雑な戦車と並行して、修復していく必要があると判断するかもしれない。
(forbes.com 原文)