米紙ワシントン・ポストが最初に報じたこの寄付計画は、ブルームバーグ財団が8日に発表した年次報告書に添えられた出資者向けレターの中で明かされた。これまでの寄付金を通じて確立された、学部入学審査において家庭の経済状況を合否の判断材料としない「ニードブラインド」制度の継続を念頭に置いたものだ。
ジョンズ・ホプキンス大ではこの寄付金を活用し、年収30万ドル(約4800万円)未満の家庭出身の学生に対しては年間約6万5000ドル(約1000万円)の学費を4年間免除し、年収17万5000ドル(約2800万円)未満の家庭出身の学生については学費免除に加えて生活費も補助する。
また、教育、ビジネス、工学など医学部以外のさまざまな大学院課程の学生を対象とした経済的支援の強化にも、この寄付金を充当する。
ブルームバーグは、寄付金によってジョンズ・ホプキンス大に「全米で最も優秀な頭脳がよりたくさん集まり、より多くの学生がローン返済に最も有利な分野に縛られることなく、最もインスピレーションを感じる分野を思いのままに追求できるようになるだろう」と述べている。
ワシントン・ポストによると、ブルームバーグ財団がこれまでジョンズ・ホプキンス大に寄付した総額は45億5000万ドル(約7300億円)に上る。ブルームバーグの説明では、これらの寄付金が功を奏して同大では経済的に最も困窮している家庭出身の学生数が大幅に増加し、10年前には全学生の9%だったのが、現在では21%を占めているという。
ブルームバーグの資産額は8日時点で推定1062億ドル(約17兆円)で、世界長者番付の15位につけている。1960年代にウォール街でキャリアをスタートさせたブルームバーグは、81年に金融メディア企業のブルームバーグL.P.を共同設立した。ニューヨーク市長を10年以上務め、フォーブスの長者番付ではニューヨーク州で最も裕福な人物とされている。
フォーブスの「慈善活動に熱心な億万長者」ランキング2024年版で上位25人に選ばれており、気候変動、医療、教育を中心に、これまでに総額170億ドル(約2兆7300億円)を超える寄付を行ってきた。ブルームバーグL.P.の持ち株も、死後ブルームバーグ財団に寄付することを誓約している。
ブルームバーグはジョンズ・ホプキンス大の卒業生。同大公衆衛生大学院は2001年、ジョンズ・ホプキンス・ブルームバーグ公衆衛生大学院に改名された。
教育関連の調査会社エデュケーション・データ・イニシアティブの2023年の報告によれば、米国の医学部卒業生の平均的な学生ローン債務額は25万995ドル(約4000万円)で、大卒者平均の4倍の借金を抱えている。一方、ワシントン・ポストによるとジョンズ・ホプキンス大の医学部卒業生の平均債務額は10万5000ドル(約1700万円)で、全米平均の半分にとどまっている。
(forbes.com 原文)