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2024.07.09 10:00

【米国株ウォッチ】テスラが予想を上回る納車台数を発表、現在の株価は妥当か?

Yuriko Nakao/Getty Images

テスラ(ティッカーシンボル:TSLA)の2024年第2四半期における納車台数は、市場の予想を上回り、44万3956台となった。この数字は前年同期比では約5%の減少となったものの、2024年第1四半期の納車台数を15%上回った。テスラの株価はこのニュースを受け、米国時間7月2日の取引で約10%上昇した。

テスラを取り巻く事業環境

テスラ車への需要は複数の要因によって低くなりつつある。米国の高金利は顧客にとっての自動車購入コストを引き上げる。また、テスラが過去1年間に行った積極的な価格引き下げの効果も和らいでいるようだ。競争も激化しており、特に中国のような市場では、現地メーカーが生産する魅力的な価格帯のEVが多数存在している。

前四半期に問題視された余剰在庫は解消へ

テスラはここ数四半期、車両在庫の増加に悩まされてきたが、この余剰分を削減するための措置を講じているようだ。第2四半期にテスラが生産した車両台数は41万831台で、同月の総販売台数を約7.5%下回り、在庫は減少した。第1四半期は43万3000台を生産したが、販売台数は約38万6810台にとどまり、在庫が約4万7000台増加したのとは対照的である。第1四半期には、テキサス州や、オーストラリアとドイツ各地にある在庫車両の保管場所を写した衛星画像などから、テスラの在庫が積み上がっているとの報道があった。さらに、日数で測定したテスラの世界的な在庫車両は、2023年第1四半期の15日から2024年第1四半期の28日へと増加していた。しかし、この指標は第2四半期には低下する可能性が高いだろう。

一方で、当四半期における利益率には注視する必要がある。前四半期では、テスラ車の平均価格は前年同期の約4万7000ドル(約753万円)から4万5000ドル(約721万円)以下に低下し、粗利益率は17.4%と、前年同期比で約2ポイント低下した。テスラは、売れ筋のモデルYや、高級車のモデルX、Sを含む3車種の価格を約2000ドル(約32万円)引き下げており、当四半期も厳しい状況が続く可能性があるだろう。

株価パフォーマンス

直近の3年間で見ると、テスラの株価は2021年1月初旬につけた235ドル台から、米国時間7月5日現在の250ドル前後の水準まで、約9%上昇した。一方、S&P500種株価指数は同期間で約45%上昇している。

結論

テスラは、その洗練されたサプライチェーン、優れたバッテリー技術、ドライブトレイン技術、自動車ソフトウェア、そして自動運転技術における業界のリーダーであり、世界がよりクリーンな輸送を求めるという長期的なトレンドの中で大きな恩恵を受けるだろうとの見方に変わりはない。とはいえ、同社は今年、販売台数と収益が圧迫される可能性が高く、同社の複数年目標である、年間売上高成長率50%という目標を大きく下回ることになるだろう。高金利、多くの国での充電ネットワークの未整備、EVのリセールバリューの低下などの要因が、テスラ車に対する潜在的な購買意欲を削いでいるようだ。また、EVのアーリーアダプター市場も飽和しつつあり、需要の減少につながっている可能性が高い。

それらの背景を踏まえ、私たちはテスラの目標株価を、現在の市場価格より30%近く低い177ドルとしている。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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