TikTokの広報担当者は、「デジタルアバターは、実在する人物のアバターを生成することで、コンテンツに生命を吹き込むのに役立ち、TikTokのクリエイティブ戦略をスケールさせる新しい道筋となります」と話す。「TikTokユーザーの58%は、TikTokでブランドについて知った後、そのブランドを信頼する可能性が高まったと回答しています。また、アバターは、パーソナライズされた人間的な感覚と、多様なジェスチャー、表情、国籍、年齢、言語などの要素によって、コンテンツを拡張し、グローバル化するのに役立ちます」と広報担当者は主張する。
デジタルアバターはすでにTikTokやその他のSNSに登場しており、中には数百万人のフォロワーを集めているものもある。例えば、ブラジルの小売企業であるMagaluは、「Lu」と呼ばれるバーチャルインフルエンサーを生み出し、TikTokで700万人以上のフォロワーを集めている。また、「Miquela」という別のバーチャルインフルエンサーは、現在TikTokで350万人以上のフォロワーを持ち、レコード会社やタレント事務所とも契約している。
その一方で、TikTokでブロードウェイの情報を伝える人間のインフルエンサーでは、人気のアカウントでもフォロワー数が5万人にも満たないのが現状だ。
とはいえ、「TikTokは演劇マーケティング、特にブロードウェイにおいて非常に重要な役割を担っている」と、『TikTok Broadway』という新著の著者であるトレバー・ボフォンは指摘する。人気のSNSとそこで活動するインフルエンサーは、ブロードウェイのショーがさまざまな層にリーチし、新しい観客を惹きつけるのに役立っているという。
「TikTokは『ビートルジュース』にとって画期的なものでした。なぜなら、従来のブロードウェイのマーケティングでは不可能だった、何百万人という若い人たちへキャストのレコード音源を届けるということが可能になったからです」と、ブロードウェイのSNS担当者であるジェニファー・グレイスルは語った。
こうした施策はこれまでブロードウェイを観たことのない若い世代を惹きつけた。『ビートルジュース』の観客の54%以上が、これまでにテレチャージ(ブロードウェイの公式チケット販売サイト)でチケットを購入したことがなく、そのうちの70%以上が19歳から54歳だった。その数字は、当時上演されていた他の公演で記録した49%という割合を大きく上回った。
しかし、見た目の上では、バーチャルインフルエンサーは人間と同じように見えるかもしれないが、バーチャルインフルエンサーと人間の宣伝効果が同じという訳ではないだろう。
「TikTokマーケティングを効果的にしているのは、『自分でやる』という草の根的な感覚です」とボフォンは話す。「例えば、#TheatreTokのクリエイターたちは、たくさんのショーを見て、彼らの視点を提供しています」。人間のインフルエンサーはみな、「ユニークな声と彼らを信頼するフォロワー 」を持っており、彼らは 「現時点ではAIよりもショーを売り込む可能性があります」と彼は続けた。
(forbes.com原文)