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2024.07.05 10:30

SNSマーケの新時代、ブロードウェイを盛り上げる「バーチャルインフルエンサー」

Getty Images

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先月、人気SNSのTikTokは、企業やコンテンツクリエイターが人工知能(AI)を使ってデジタルアバターを作成し、商品やサービスを売り込むことができる機能を発表した。デジタルアバターは、同社と契約する複数の俳優を使って作成することも、実在の人物に似せてゼロから作ることもできる。

TikTokの広報担当者は、「デジタルアバターは、実在する人物のアバターを生成することで、コンテンツに生命を吹き込むのに役立ち、TikTokのクリエイティブ戦略をスケールさせる新しい道筋となります」と話す。「TikTokユーザーの58%は、TikTokでブランドについて知った後、そのブランドを信頼する可能性が高まったと回答しています。また、アバターは、パーソナライズされた人間的な感覚と、多様なジェスチャー、表情、国籍、年齢、言語などの要素によって、コンテンツを拡張し、グローバル化するのに役立ちます」と広報担当者は主張する

デジタルアバターはすでにTikTokやその他のSNSに登場しており、中には数百万人のフォロワーを集めているものもある。例えば、ブラジルの小売企業であるMagaluは、「Lu」と呼ばれるバーチャルインフルエンサーを生み出し、TikTokで700万人以上のフォロワーを集めている。また、「Miquela」という別のバーチャルインフルエンサーは、現在TikTokで350万人以上のフォロワーを持ち、レコード会社やタレント事務所とも契約している。

その一方で、TikTokでブロードウェイの情報を伝える人間のインフルエンサーでは、人気のアカウントでもフォロワー数が5万人にも満たないのが現状だ。

とはいえ、「TikTokは演劇マーケティング、特にブロードウェイにおいて非常に重要な役割を担っている」と、『TikTok Broadway』という新著の著者であるトレバー・ボフォンは指摘する。人気のSNSとそこで活動するインフルエンサーは、ブロードウェイのショーがさまざまな層にリーチし、新しい観客を惹きつけるのに役立っているという。

「TikTokは『ビートルジュース』にとって画期的なものでした。なぜなら、従来のブロードウェイのマーケティングでは不可能だった、何百万人という若い人たちへキャストのレコード音源を届けるということが可能になったからです」と、ブロードウェイのSNS担当者であるジェニファー・グレイスルは語った。

こうした施策はこれまでブロードウェイを観たことのない若い世代を惹きつけた。『ビートルジュース』の観客の54%以上が、これまでにテレチャージ(ブロードウェイの公式チケット販売サイト)でチケットを購入したことがなく、そのうちの70%以上が19歳から54歳だった。その数字は、当時上演されていた他の公演で記録した49%という割合を大きく上回った。

しかし、見た目の上では、バーチャルインフルエンサーは人間と同じように見えるかもしれないが、バーチャルインフルエンサーと人間の宣伝効果が同じという訳ではないだろう。

「TikTokマーケティングを効果的にしているのは、『自分でやる』という草の根的な感覚です」とボフォンは話す。「例えば、#TheatreTokのクリエイターたちは、たくさんのショーを見て、彼らの視点を提供しています」。人間のインフルエンサーはみな、「ユニークな声と彼らを信頼するフォロワー 」を持っており、彼らは 「現時点ではAIよりもショーを売り込む可能性があります」と彼は続けた。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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