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2024.07.09 11:00

Webサービスの顧客体験とサイバーセキュリティの強化が企業の命運を分ける

AI技術が社会に浸透しはじめ、デジタル化が加速度的に進むなか、企業のオンラインサービスは時に停止を余儀なくされるほどの脅威に晒されている。また、顧客のオンラインビジネスに対する要求も複雑、かつこれまでにないほど高度になってきている。

エッジクラウドプラットフォームを提供するFastlyで、カントリー・マネージャーを務める今野芳弘(以下、今野)は、「企業は今こそ、Web技術を最新化し、競争力の源泉であるオンラインビジネスの最適化に取り組まなければならない」と警鐘を鳴らす。

デジタル社会のなかで求められるB to C やWeb技術への投資の重要性について、事業変革のプロフェッショナルであるDX JAPAN 代表 植野大輔(以下、植野)とともに考える。


オンラインビジネスの顧客体験にまで手が回らない日本企業の現実


——Fastlyではオンラインビジネスを支えるWeb技術における日本企業の現状と課題を、どのようにとらえていますか。

今野:Web技術は日々進化しています。最先端の技術を積極的に取り入れている企業様とそうでない企業様とでは、当然サービスの品質に大きな違いが生じますが、これから数年後、その差はさらに開いていくだろうと想定されます。

例えば、エンドユーザー様がご利用になられる端末ひとつとってもPCやスマホ、タブレット、スマートテレビなど多岐にわたり、自宅でゆっくりWebサイトを見る場合と電車の中で見る場合では、求められるニーズも変わってきます。

端末や通信環境が進化するなかで、どれだけユーザー体験を高めることができるのか。こうした部分に対する各企業様の対応は、今後埋め難いビジネスチャンスの差となり、より一層表面化していくだろうと考えています。

——企業のDXを支援するDX JAPANでは、オンラインビジネスを提供する企業の課題をどう感じていらっしゃいますか。

植野:リアル企業を含め、多くの企業がECサイトを展開しており、ECサイト上の顧客体験の最適化はあらゆる企業にとって最重要課題です。ただ、従来型のユーザーインターフェース(UI)で、快適なユーザーエクスペリエンス(UX)を実現できていないECサイトも少なくない印象です。残念ながらデジタル時代では、会社の顔であるはずのECサイトにも関わらず、リアルビジネスは知り尽くしている経営層も、Webとなると「情報システム部門やEC担当に任せているから大丈夫」と安心してしまっているのではないでしょうか。

しかし、現場は予算やリソースが限られているなかで、まずはサイトの運用・保守といった守りに注力しなければならない。顧客体験を最高に引き上げようとする攻めのWeb投資は後回しになり、結果、自社のサービスは世の中の先端から相対的に劣化し、結果、販売実績が上がらない、という悪循環に陥ってしまっているのではないでしょうか。これではグローバルに展開する海外企業のECサイトは日本国内でも進化をし続けて、日本企業のECサイトとUIUXの差が開いてしまわないかと心配をしています。

ランサムウェアよりも深刻なオンラインビジネスを狙った攻撃とは


——ユーザーに安心してオンラインビジネスのサービスを使ってもらうためのセキュリティ対策に関する企業の状況について聞かせてください。

植野:UIUX、顧客体験以上にセキュリティに関しては、さらに悩ましい状況です。グローバル企業のCEO(最高経営責任者)に重要経営アジェンダを聞く調査がいくつかありますが、いずれの調査でも、セキュリティは重要な経営アジェンダの上位に入っています。しかし、「セキュリティがトップ経営アジェンダになっている」という事実を日本の大手企業の経営者にお話ししても、あまりピンと来られないのが実情です。CISO(最高情報セキュリティ執行責任者)などの役職を設置し、一任しているとも見えますが、セキュリティひとつで事業状況がひっくり返る経営上の脅威、リスクであることをご認識いただきたいですね。

今野:メディアなどでも話題にあがることの多いランサムウェアを気にする経営者の方も増えていますが、実はWeb技術関連の脆弱性をつかれた攻撃のほうがさらに深刻です。企業のWebサイトはいわば会社の玄関口。そこにDDoS(Webサーバーなどに対し、複数のコンピューターから大量のパケットを送りつけることで、正常なサービス提供を妨げる行為)やSQLインジェクション(Webアプリケーションの脆弱性を意図的に利用し、データベースを不正に操作する攻撃)など、数十種類のサイバー攻撃が行われれば、甚大な被害となります。

情報漏洩の多くは、企業のWebサイトへの攻撃をきっかけとしています。IPAが公表している2023年第3四半期 (7月~9月)の「ソフトウェア等の脆弱性関連情報に関する届出状況」では、Webアプリケーションソフトの脆弱性に関する届け出は全体の42%にものぼっており、攻撃者はここを狙っています。もちろんランサムウェアに対する備えは大切ですが、それだけでなく、Webサイトのセキュリティ対策もきちんと講じておく必要がある、ということです。

植野:今のお話をリアルビジネスに例えると、自社の旗艦店の前に、嘘の看板を置かれて、お客様が偽物のお店に誘導される。または深夜に店舗の入口の鍵を開けられて、顧客名簿をごっそり持っていかれている、ということですから、どれだけ悪質かつ深刻なことかイメージできますよね。

今野:一度セキュリティ侵害を受けると、その影響は極めて大きいことが分かっています。 当社が2023年11月に発表した調査では、「セキュリティ侵害により失った信頼を回復するまでには最低でも7.45か月以上かかる」という結果があります。

さらに同じ調査では「企業は収益の約10%をサイバー攻撃で損失している」という結果も出ています。日本の経営層がWebサイトのセキュリティに対する関心が低いという現状は、待ったなしに変えていかなければなりません。

Fastly カントリー・マネージャー 今野芳弘

Fastly カントリー・マネージャー 今野芳弘

植野:マーケティングでは、ブランドエクイティという言葉があります。長い時間をかけ、コツコツ築いてきたブランド価値、資産も、セキュリティ侵害を受けると一瞬で毀損されてしまいます。今野さんがおっしゃられたように「収益の約10%をサイバー攻撃で損失している」というショッキングな現状をどう認識するのか。企業の経営陣は、深刻かつ真剣に捉える時期が来ていると、私は思います。

セキュリティ対策を経営アジェンダに


——技術的な知識やスキルが求められる顧客体験改善やセキュリティ対策を経営とどのように結びつけていくのか。経営陣はどのような役割を担うべきでしょうか。

植野:顧客体験については、難しいことではなく、自社のリアルビジネスと同じ感度を持つことに尽きるはずです。例えば実店舗をもつ経営者なら、販売の現場や競合の店舗を廻りますよね。同じように、自社のサイトやライバルのサイトを実際に使ってみる。「経営者自らがそんなことまでするのか」と思うかもしれませんが、リアルビジネスでやられていることを想像すれば、けっして特別なことではないとわかっていただけるはずです。

今野:実店舗をもっている企業経営者なら、顧客の行動、動線、商品の陳列、照明方法などをチェックするのは当たり前ですからね。それなのにオンラインビジネスやECサイトでそれをやらないというのは、いかがなものでしょうか。

植野:そのとおりですね。リアルな世界では顧客ファースト、お客様第一主義など顧客起点になれるのに、デジタルだとなれない。日本企業、特に伝統的大企業の場合、経営陣自身はアナログ中心に歳を重ねて来られ、デジタルには積極的に触れてこなかった世代でもあります。ですが、デジタル技術が日々進化し、事業環境を大きく変えている時代であることを認識していただければ、自ずとデジタルへの姿勢も変わるはずだと、私は信じています。

もうひとつのセキュリティに関しては、そのリスクを十分に理解し、しっかり経営アジェンダに引き上げ、経営会議などで扱うべきです。為替変動リスク、地政学リスクなどを気にする経営者は数多くいますが、セキュリティリスクもそれらと同水準のリスクとしてとらえ、今日の今野さんのお話のような、世の中で起きている主要なセキュリティ情報は把握いただきたいですね。個人情報漏洩やオンラインビジネスシステムの停止はいたるところで日々発生しており、企業業績や企業価値に大きなインパクトを与えています。

ここまで経営陣がセキュリティに対して共通の理解をもった上で初めて、経営視点とセキュリティに関する専門的な知見を併せ持つCISOに具体的な対処、対応を任せるのが健全です。特定のセキュリティ部署に任せっきりにするのではなく、経営レイヤーで取り組むことで企業責任を果たせていると言えます。

今野:オンラインビジネスシステムのセキュリティ対策に対する予算を懸念する経営者の方々もいらっしゃると思いますが、課題を整理して戦略を立てればそれほどコストをかけずに対応することは可能です。我々が提供するエッジクラウドプラットフォームは、企業の既存システム(クラウドやオンプレ)へ追加導入することにより、コストダウン、顧客体験の改善、急速なアクセス数の増加への対応を容易にするクラウドサービスとなっています。

セキュリティの面では、企業のWebサイトを守る次世代WAF(これまでのWAFにおける課題を改善した新たなセキュリティ対策製品)を導入いただければ、脅威への検知率を高め、運用を最適化することが可能です。これまでは専門的な知識を必要とする領域でしたが、人の手をそれほど介さず運用できる仕組みも構築可能です。

顧客体験の改善に関しては、弊社Web技術のソリューションを活用していただければ大幅な改善が期待できます。これまで類似するサービスが苦手としていた、刻々とリアルタイムに変化する情報に対する急なアクセスの増加や、顧客体験の大幅な改善に効果を発揮しています。

さらに現企業システムのサーバのトラフィックを抑えることができ、システムの初期投資やランニングコストを抑えることができます。総合的にDDosやBot(コンピュータを外部から遠隔操作するためのバックドア型不正プログラムの一種)などの対策も可能です。

植野:それは企業にとって大きなメリットになりますね。工場や店舗をつくることに比べれば、Web領域のデジタル投資は、必ずしも巨額なお金はかかりません。言い換えれば、ライバルよりも早い段階できちんと対応できれば、競合優位性にもつながり、自社の競争力を高めることもできる。そう考えると、最新のWeb技術を活用しない理由はないですね。

企業の味方にも敵にもなるAIをどう活かすべきか


——AIを活用したサービスも登場していますが、Web技術やセキュリティにおいて、経営者が理解しておかなければいけないことがあれば教えていただけますでしょうか。

今野:経営者の方々もAIという領域には光を当てていらっしゃる方が多いように感じますが、実際、企業の競争力としてどのようにAIを取り入れて収益を上げていくのか。また通信も含めて、最終顧客から見てどんなサービスに展開するのか。どのような顧客体験を実現するのかが今後の課題になると思われます。

植野:まさにそこですよね。AIが業務効率化の道具ぐらいの捉え方しかされていない状況を、非常に懸念しています。本来なら、AIは無限の経営リソースにもなりうるテクノロジーであり、企業の競争力を決してしまう存在です。ただ、AIを競争戦略としての経営リソースに取り込む前に、まずWeb通信技術向上やサイバーセキュリティへの対策をすべてクリアしなければならないのですが。

もちろん、業務の効率化にAIを導入することで得られるメリットは小さくありません。しかし、海外企業の経営陣がAIをはじめとしたテクノロジーを自社の収益成長に結びつけようと必死になっていることに比べると、日本企業は早くもAIの捉え方の点で周回遅れになりつつある感があります。

DX JAPAN 代表 植野大輔

DX JAPAN 代表 植野大輔

今野:AIは企業戦略において非常に重要なポジションになってきます。ただ、ここでもやはりWeb技術による通信環境の配慮が重要になります。B to BやB to Cのシステムにおいて、どんなに優れたAIサービスを提供していても、Web技術が確かなものでないとサービスを活かすことができない。「新しいリゾートエリアをつくりました」といって招待客を招いても、そこまでの道のりが砂利道だったらどうしますか、という話と同じなのです。

またAIの活用により蓄積されるデータはますます増えていきます。一方でスピード感のあるサービスが求められる。こうした相反する現象を効果的に解決する手段を企業が取り入れることが重要になってくると思います。

植野:サイバー攻撃においてもAIが使われていますよね。こうした攻撃には、もはやこれまでのセキュリティ対応では、対処が難しくなっていると聞きます。

今野:そうですね。AIを使った巧妙な攻撃も益々増加するでしょう。AIによって特別な能力がなくてもサイバー攻撃ができるようになってしまいました。

その例としてエアラインの座席予約を大量に行い、直前にすべてキャンセルするといった攻撃も見られます。不正に入手したクレジットカード情報をもとにECサイトでそのカードが使えるか不正に購入する攻撃などもあります。アメリカではこうした頻繁不正アクセスやBot攻撃への対策を導入している企業は多いですが、日本はまだ少ないと言えます。

植野:経営層は今こそデジタルリテラシーを高め、十分な対処を取らなければ、企業としての信頼も収益機会も失ってしまう時代に突入しています。

経営者のなかには、「デジタルは、所詮は手段だ」と言う方がいらっしゃいます。しかし、デジタルは、目的でありゴールだと言うぐらいの気概で、本当に死に物狂いで取り組まないと、市場競争に取り残されてしまいます。悠長なことを言っている時間はないはずです。

だいたい、「デジタル人材の採用を!」と叫びながら、「デジタルは、手段だ」と言うような会社に、腕に自信のある有能なデジタル人材が行きたいと思うでしょうか。「君たちは所詮、手段のための人材だ」と言われているわけですから。

今野:経営者の方々にはWeb技術やセキュリティの視点も持っていただくとともに、この点においても有能なエンジニアを集めてサービスや業務効率を向上いただくべきだと考えています。また同時に外部の有効なサービスを活用するという選択肢を持っていただけたらと思います。

我々は24年6月に、エッジで高速かつ安全で魅力的なAIエクスペリエンスを実現する独自ツール「Fastly AI Accelerator」を発表しました。引き続き、より優れたインターネット体験の構築を支援していきたいと考えております。


Fastly
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