初めてドバイを訪れたのは25年ほど前。“7つ星ホテル”として話題になった「ブルジュ・アル・アラブ」ができたころで、そのホテルに2泊、砂漠のリゾートに2泊滞在しました。今では訪れる人も多い街ですが、当時、飛行機は関空からしかありませんでした。
印象に残っているのは、暑いからか、街ではほとんど人を見かけなかったこと。まだ今ほど巨大でなかったショッピングモールにも行きましたが、同様に人の気配はまばら。
そこには宝飾店を中心にハイブランドの店が並んでいて、気になっていた時計があったので「パテック フィリップ」に立ち寄ってみると、世界的に品薄で、上顧客でもなかなか買えないモデルがさっと出てきて、ここは豊かで経済力のある国なんだな、と思いました。
再びドバイを訪れたのは2017年、友人ジェフ(・ステープル、米国のクリエイティブディレクター)に誘われ、ストリートカルチャーのイベントに登壇しました。
日頃から民族衣装“カンドゥーラ”を着ている人たちがファッションにどれだけ興味があるのかと思いましたが、会場はアラブ諸国から集まった人たちで賑わっていました。滞在中に、地元でカルチャー誌『BROWNBOOK』を手がける双子、ラシッドとアーメッド(・ビン・シャビブ)をジェフが紹介してくれました。祖父が元大臣で、王室から与えられたという彼らの家は広大で、その庭で焚き火を囲んで雑談する文化に触れました。
部屋でクローゼットを見せてもらうと、カンドゥーラが並んで真っ白。後で聞けば、1日に2回着替えるらしく、3カ月毎に10枚新調するそうです。彼らの御用達というドバイ最古のテイラーも訪れましたが、かっこよかったです。
ドバイに限らず、海外に行くときは、短期間で、観光地よりローカルな面に触れるのが好きですね。ヨーロッパを車で移動することもあるのですが、知らない街ではまず主要な駅に行って、全国各地から集まる人たちを観察すると雰囲気がつかめます。
心地よい焚き火カルチャー
今年の2月は、「World Governments Summit」の招待を受けてドバイに行きました。以前から(前述の)双子が誘ってくれていたものの、政治的なイベントに僕は関係ないと思っていたのですが(笑)。エルドワン大統領や各国の大臣が来るようなイベントにも関わらず、セキュリティが割と甘く驚きました。ドバイの治安の良さの裏返しなのでしょうね。僕は生活感のある旧市街が好きで、今回もアーメッドと散歩したのですが、夜にスークと呼ばれる細い路地街を歩いても「100%安全」と言っていました。