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2024.07.14 14:15

「いろんな考えを尊重し合って生きるしかない」般若が『寄生獣』から学んだ真理

漫画『寄生獣』が初めて世に出たのは今から36年前まで遡る。
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最近、原作の大ファンだという韓国のヨン・サンホ監督がNetflixで実写化して話題を呼んだが、漫画好きの間では『寄生獣』が名作中の名作であることは周知の事実。

当然、般若も高校時代から大ファンで、「漫画の領域を超えている」と明言する。

「人間とは何か」を問いかけるSF漫画の金字塔

『寄生獣』(講談社)原作・岩明均。累計2400万部を突破したSF漫画の金字塔。パラサイトに“一部”寄生された主人公・泉 新一を中心に、人間を食い殺そうとするパラサイトと、それに対抗する人間たちの戦いを描いた作品。1988年に『モーニングオープン増刊』(講談社)で連載開始。

『寄生獣』(講談社)原作・岩明均。累計2400万部を突破したSF漫画の金字塔。パラサイトに“一部”寄生された主人公・泉 新一を中心に、人間を食い殺そうとするパラサイトと、それに対抗する人間たちの戦いを描いた作品。1988年に『モーニングオープン増刊』(講談社)で連載開始。

はい、今回は『寄生獣』です。俺の右手がさっそく反応してますよ。
 
簡単に説明すると、“人間を食い殺す”という本能を持った地球外生物(パラサイト)が人間の脳と体に寄生し、人類の数を間引いていこうとする漫画です。

主人公は泉 新一っていう高校生で、彼が右手だけパラサイトに寄生されちゃうんですよ。パラサイトとしては乗っ取りに失敗したわけですが、そのパラサイトの「ミギー」と新一がタッグを組んで他のパラサイトと戦っていくっていうストーリーになります。
 
僕は友達に薦められて高1のときに読みましたが、これは本当に面白い漫画ですよ。いまも定期的に読み返す作品のひとつですね。 
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人間やパラサイトが殺されるシーンとかは結構エグいけど、単なるパニックホラーではないというか。パラサイトの考え方と人間の考え方の対比にすごくメッセージ性が詰まっているんですよ。

人間に近づくパラサイト、パラサイト化する人間


ミギーと共存する羽目になった新一は、他のパラサイトたちとの戦いを経て、平凡な高校生からどんどん変わっていきます。傷を治癒するため、ミギーの細胞を大量に取り込んだ影響もデカかったんでしょうね。

特に、母親に寄生したパラサイトと対峙する描写はエグかったし、マジで可哀想でした。あのあたりから新一の凄みが一気に増していったんじゃないかと思います。

特にその変化がわかりやすかったのは第18話「人間」。車に轢かれた子犬を新一が保護するんだけど、死んだ途端にゴミ箱に捨てようとしたシーンがあるじゃないですか。

それを見たヒロインが驚いて「子イヌがかわいそうだ!」って言うんだけど、新一は「死んだイヌはイヌじゃない イヌの形をした肉だ」って返すんです。相当ヤバいですよね(笑)。

昔の新一なら言わなかったこのセリフに、ミギーも驚いてました。「イヌの形をした肉なんてセリフ……むしろ私が使いそうな表現だ」って。半分人間、半分パラサイトになった彼の心の葛藤がどんどん出てくるのも見どころですね。



逆に、人間らしさを持ち始めるパラサイトもいるじゃないですか。教師の田宮良子。田宮がいなかったら『寄生獣』はここまで面白くなかったと思うくらいの重要人物です。

田宮もパラサイトに寄生された側なんだけど、同じくパラサイトに寄生された人間との間にできた子を宿し、産むんです。だけどパラサイトだから愛情はなく、まるで実験とか飼育の感覚で育てるんですよ。赤ちゃんが泣いたら真顔で「黙れ」って言って黙らせるし(笑)。

でも田宮は最後、自分の子供を守って死ぬんです。パラサイトとして絶対にやらなさそうなことをやって死んでいく。人間とは何か、パラサイトとは何かを追究するようになっていた田宮は、気づいたらいちばん人間に近い存在になってたんですよ。
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佐藤ゆたか=写真 ぎぎまき=文

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