イーライリリーは昨年、ドナネマブの後期臨床データを発表し、医療機関や専門家から規制当局の承認を求める声が上がった。FDAは3月にドナネマブの承認決定を延期し、薬の安全性と有効性についてさらなる精査が必要だと述べた。この延期は、薬の効果が統計的に有意ではないという懸念や批判、また脳内のアミロイドタンパク質を除去しても認知機能の低下を効果的に遅らせることができないという意見を受けてのものだった。さらに、CNBCによると、後期試験で3人の参加者が副作用で死亡したことから、薬の使用中に脳浮腫や出血のリスクが高まることも懸念されていた。
イーライリリーとノボノルディスクの株価は米国時間2日の取引で最大4%下落した。これは、ジョー・バイデン大統領とバーニー・サンダース上院議員が、両社に対して薬品の「良心に反する高額な価格設定」をやめるよう呼びかける新聞記事を寄稿したことを受けての動きである。バイデン大統領とサンダース上院議員は、両社が提供する人気の高い減量薬オゼンピックとマンジャロの価格が、他国と比較して「容認できない」水準にあると指摘した。サンダース上院議員は数カ月前から、ノボノルディスクの薬価を批判している。これは、イェール大学の研究で、オゼンピックとウェゴビーの注射ペンの1カ月分の製造コストがわずか5ドルである可能性が示されたことを受けてのものだ。オゼンピックの1カ月分の費用は、米国では1000ドル(約16万2000円)だが、カナダでは300ドル(約4万8000円)だ。
(forbes.com 原文)