「ご連絡いたします」は正しい敬語か?
「ご連絡いたします」は、ビジネスシーンや日常会話で頻繁に使われる表現ですが、正しい敬語なのか疑問に思う人も少なくありません。実はこの表現、謙譲語を二重に使っているため、厳密には二重敬語となります。しかし、現在では慣習的に使用されており、ビジネスシーンでも一般的に受け入れられています。
「ご連絡いたします」の構成
「ご連絡いたします」は、「連絡」に尊敬を示す「ご」をつけ、さらに謙譲語の「いたす」を用いた表現です。厳密には二重敬語ですが、「お(ご)~いたす」の形は謙譲語として一般的に認められています。
例文
例1: 「明日の会議の件でご連絡いたします。」
例2: 「資料が揃い次第、ご連絡いたします。」
「ご連絡いたします」の使い方と例文
自分から連絡する場合
自分が上司や取引先に連絡する際には、「ご連絡いたします」を使います。この場合の「ご」は連絡を受ける相手に対する敬意を示しています。
例: 「本日の打ち合わせの詳細は、後ほどご連絡いたします。」
相手に連絡を依頼する場合
相手に連絡を依頼する際には、「ご連絡ください」や「ご連絡くださいませ」を使用します。「ください」は命令形ですが、丁寧な表現として広く使われています。
例: 「確認ができましたら、ご連絡くださいませ。」
「ご連絡」を使う際の注意点
誤用表現と二重敬語
「ご連絡させていただきます」はよく見聞きするフレーズですが、これは本来不適切です。「させていただく」は、相手の許可を得たうえで自分が行動する際に使いますが、連絡をする場合には基本的に許可を得る必要はないため、「ご連絡させていただきます」は誤用です。
例: 「後ほどご連絡いたします」が正しい表現です。
「いたす」と「致す」の違い
「ご連絡いたします」の「いたす」はひらがなで表記する必要があります。漢字の「致す」は、「良くない結果を引き起こす」や「届くようにする」という意味があり、補助動詞としては使えません。
「ご連絡いたします」の類語と言い換え表現
ご報告いたします
「ご連絡」と似た表現に「ご報告」があります。状況や結果を伝える際には「ご報告いたします」が適切です。
例: 「本日の会議の結果についてご報告いたします。」
お知らせいたします
「お知らせ」も「連絡」と似た意味を持つ言葉です。ビジネスメールや書面でよく使われます。
例: 「新しいプロジェクトの開始日についてお知らせいたします。」
「ご連絡いたします」の英語表現
フォーマルな表現
ビジネスシーンで「ご連絡いたします」を英語で表現する場合、「I will contact you」が代表的です。フォーマルな場面で使えます。
例: 「確認後、改めてご連絡いたします。」→「I will contact you again after confirming.」
カジュアルな表現
カジュアルな表現としては、「I’ll touch base with you」が適しています。ビジネスでも使えるため、状況に応じて使い分けるとよいでしょう。
例: 「数日以内に連絡しますね。」→「I will touch base with you in a couple of days.」
まとめ
「ご連絡いたします」は二重敬語ではありますが、慣習的に使用されているため、ビジネスシーンで問題なく使えます。ただし、「いたす」はひらがなで表記し、「ご連絡させていただきます」などの誤用を避けるようにしましょう。正しい言葉遣いを身につけ、円滑なコミュニケーションを図ることが重要です。