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アジア

2024.07.03 10:30

「1ドル=170円」に現実味 円相場の急変に身構える世界

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日本の当局者は当初、円相場が1ドル=150円まで下落することはないと言っていた。だがその後、150円どころか160円台まで円安が進んだ。現在、為替トレーダーたちは170円までいくのではないかと口にするようになっている。

あり得ない話ではない。米連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利を高い水準で据え置いたままだし、日本はリセッション(景気後退)をぎりぎり回避しているといった程度の経済状況で、世界最悪の公的債務はどんどん膨らんでいる。

しかも日本政府はどうやら、円が下がり続けるのを容認しているようなのだ。岸田文雄首相のチームは認めたがらないが、実のところ、今年だけで14%進んだ円安によって輸出が押し上げられているのを喜んでいる。

岸田の自由民主党政権は、円安効果もあって日本が享受している観光ブームも歓迎している。日本は日経平均株価が史上最高値を更新するなど株高にも沸き、世界のニュースの見出しを飾ってもいる。

だが、円が1ドル=170円まで下落すれば、その影響は中国から米国まで世界全体に波及し、さらには日本自体にも跳ね返ってくるだろう。

日本政府が円安を放置すればするほど、中国の習近平国家主席が優先課題への対処方法を変更する可能性が高まる。アジア最大の中国経済が勢いを失うなか、習は成長を安定化し、デフレを退治するための方策を模索している。そうするのに、人民元の下落ほど手っ取り早いものはない。

中国の不動産危機は、習のチームが考えていた以上に自国経済にとって大きな脅威であることが明らかになりつつある。悪いニュースが次から次に続き、景気刺激策が効果を発揮するよりも速いペースで企業や家計の信頼感が悪化している。

そうしたなかで、元安を追い風とした輸出の急増は、短期間で中国経済を窮地から救ってくれる見込みのあるものだ。習のチームはこれまで、いくつかの理由からこの方策に慎重だった。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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