キース・ヘリング「無題(FDR NY)#5-22」、1984年(マートス・ギャラリー、グラッドストーン・ギャラリー)
1984年にニューヨークのマンハッタンを走る高速道路、フランクリン・D・ルーズベルト・イースト・リバー・ドライブ(FDRドライブ)の壁に描かれた作品。パネルの数は18枚、長さはおよそ90メートルに及ぶ。エネルギッシュでのびのびとした作風で知られるヘリングの作品はいまも、そのユニークな視覚言語とそれが現代アートに及ぼした影響を反映している。これらのパネルが取り外され、分散して以来、初めて主要な部分を集めた今回の展示は、ヘリングのダイナミックなパブリックアートを新たな文脈において体験する貴重な機会となった。
サム・フォールズ「春~秋」 2023年(ガレリア フランコ・ノーロ、303ギャラリー、ギャラリー・エバ・プレゼンフーバー)
天然の素材と自然のプロセスを用い、時間の経過とそれに伴う色やテクスチャーの微妙な変化を作品に記録したフォールズのインスタレーションは、生命と芸術のはかなさという本質を際立たせるものだ。自然界と芸術表現の間にある溝を埋めることにより、私たちの存在を成り立たせるつかの間の瞬間について考え、感謝することを促すような、想的な空間を作り出している。
ジェニー・ホルツァー 「Survival」1989年(ハウザー&ワース)
1989年にニューヨークのグッゲンハイム美術館に初めて出品されたホルツァーの「Survival」シリーズは、いまも心に迫る、力強い言葉を発している。17台の石のベンチが円を描く展示作品は、積極的な、ときには議論を引き起こすような言葉が彫り込まれており、現代社会で生き残っていくための厳しい現実を鑑賞者たちに突きつけている。ホルツァーは公共の場所に設置する作品や電光掲示板などを媒体にする作品を通じて、見る人を社会・政治的な問題に関する対話に巻き込んでいる。
マリア・ハサビ「Mirrors」2024年(ザ・ブリーダー・ギャラリー)
ハサビが手掛けた「Mirrors」は、現実と認識の相互作用について探求するイマーシブなパフォーマティブ・インスタレーション。過去に発表した「I'll Be Your Mirror」をベースにしている。9枚のアクリル板ミラーに映し出されたダンサーたちの歪められた金色の姿は、それぞれの流れるような動きを捉えている。人間の形を抽象化し、私たちが持つ認識にメディアが及ぼす影響がどれほど浸透しているかということを表すとともに、作品に映り込んだ自らの姿と向き合い、現代の文化におけるイメージ操作について考えることを鑑賞者に促している。
(forbes.com 原文)