ニュースサイトのPatently Appleが先月報じたところによれば、アップルの特許申請には、取り外し可能な背面パネルを備えたスマートフォンが描かれている。このパネルは、追加のハードウェア機能を持つものと交換が可能だ。
追加のコンポーネントには、背面が保護ケースとして機能するものから、補助バッテリーや健康モニタリングデバイス、さらには第2のディスプレイまで多岐にわたっている。さらに、追加のカメラモジュールを備えた背面パネルの例も詳細に記載されている。これらはすべて、スプリング式のクリップで接続され、簡単に取り外しが可能という。
特許画像の一つには、バッテリーパネルやカメラモジュール、追加スピーカーを含む様々な背面プレートの配置が描かれている。
筆者はこの特許書類を見て、2016年にリリースされたモジュール式スマートフォンのLG G5を連想した。この端末は、さまざまなモジュールを交換して、バッテリーを大きくしたり、追加のカメラを取り付けたり、VR(仮想現実)コンポーネントを追加したりすることが可能だった。
G5の以前にグーグルはProject Ara(プロジェクト・アラ)と呼ばれるプロジェクトで、同じアイデアを長い間試みていた。この端末は、電気廃棄物を減らすために設計されたモジュール式スマートフォンだった。グーグルは、2016年にこのプロジェクトを棚上げしたが、アイデア自体はまだ生き続けている。
特許の申請は、必ずしも実際のデバイスにつながるものではなく、アップルのような企業が、モジュール式のスマートフォンをリリースすることは、あり得ないことのようにも思われる。しかし、アップルは近年、さまざまな圧力を受けて、端末の修理を容易にする方向に向かっている。
同社は、iPhone 15の内部シャーシを再設計し、ガラスを割ることなくバックパネルを取り外しやすくした。アップルは昨年、自宅でデバイスを修理しやすくする「セルフサービス修理プログラム」を導入し、現在はその一部がヨーロッパでも拡大されている。同社はまた、今年のiPhone 16向けにバッテリーの取り外しを容易にする技術を開発中だと報じられている。
さらに、アップルのパーツペアリング(訳注:修理の際、メーカーによる交換部品の認証と承認が必要とする仕組み)に関する方針変更により、iPhoneユーザーはアップルの承認なしに部品を交換できるようになる。iPhone 16から適用されるこの変更は、米オレゴン州などで成立した「修理する権利」の法制化への対応と見られている。
アップルが修理についてのスタンスを和らげ、部品を交換しやすくするためにiPhoneを再設計していることを考えると、今回の特許のようなモジュール式の端末のリリースも、まったくの夢物語ではないように思えてくる。
(forbes.com 原文)