ソルトラボを利用する雇用主は、離職率の高い時給労働者の定着率の向上を目的として、このサービスに費用を支払っている。
この買収について詳しい人物によると、チャイムは現金1400万ドル(約22億6000万円)をニューヨークを拠点とするソルトラボに支払ったという。同社は、ソルトラボの共同創業者でCEOのジェイソン・リーを含む30人の従業員のほとんどを雇用したとされる。リーは以前、時給労働者がシフトの終了後に即座に支払いを受けられるサービスのDailyPay(デイリーペイ)を立ち上げていた。
リーとソルトラボのチームは、複数年にわたる業績目標を達成した場合に、チャイムの株式の0.9%を付与される予定という。フォーブスは、今年3月にチャイムの企業価値を80億ドル(約1兆2000億円)と評価しており、リーと彼のチームは、1400万ドルの現金に加えて7200万ドル(約116億円)相当の株式を付与されることになる。
今から1年前に設立されたソルトラボは、その半年後に5社の法人顧客を獲得したと述べていた。同社はこれまで累計1800万ドル(約29億円)を調達しており、直近の評価額は8000万ドル(約129億円)とされている。
チャイムの最高執行責任者(COO)のマーク・トラウトンによると同社は、ソルトラボが抱える顧客や主力製品に加えて、デイリーペイを立ち上げたリーの経験に魅力を感じて、今回の買収を行ったという。
この買収は、顧客にチャイムをメインの銀行口座として利用してもらい、給与をその口座に直接入金してもらうという、同社の長年の最終目標を達成するための新たな手段とも言える。チャイムは、ユーザーが同社のカードで買い物をした際に加盟店が支払う手数料で収益の大半を得ている。同社は、銀行免許を持たないため、バンコープのような伝統的な銀行と提携して銀行サービスを運営している。
また、この買収は、連続起業家のリーにとっては迅速なエグジットを意味する。ゴールドマン・サックスの幹部だった彼は、2022年にデイリーペイを20億ドル(約3233億円)でチャイムに売却しようとした。しかし、デイリーペイの取締役会は、この取引を拒否し、リーを解雇していた。チャイムに加わったリーは今後、自身が創設したスタートアップと直接競合することになる。
(forbes.com 原文)