食&酒

2024.07.13 11:15

ジャグジー開発からワイナリー経営まで 家族に受け継がれる哲学とは

クライン ファミリー セラーズのオーナー、フレッド&ナンシー・クライン夫妻

1982年の創業時から40年以上にわたり、カリフォルニアでブドウ栽培とワイン醸造を行ってきたクライン ファミリー セラーズ。そのオーナーであるフレッド&ナンシー・クライン夫妻が、国外初リリースとなる「ソノマAVAシリーズ」を携え30年ぶりに来日した。

誰の目にも仲睦まじさが伝わってくる2人は、ワイン醸造学の世界的な権威であるカリフォルニア大学デイヴィス校で出会い結婚。独自の哲学と情熱をもって7つの自社畑と7人の子供を育て、時代が求める高品質なワインを造り、次世代を見据えたファミリービジネスを展開している。

興味深いのは、クライン家はジャグジーバスの開発者をルーツに持つことだ。フレッド・クラインの祖父ヴァレリアーノ・ジャクージは好景気に沸くアメリカでこのビジネスを大成功させ、「アメリカンドリーム」を掴んだことで知られている。一方、ワインビジネスに関しては軌道に乗らなかったのだが、家族の休息地として残った農園で幼いころからブドウ栽培を学んでいたクラインが祖父の意思を引き継ぎ、クライン ファミリー セラーズを立ち上げた。

こうした異色の背景を持つファミリーが、このたび満を持してリリースさせたワインのスタイルと、代々受け継がれる彼らのビジネス哲学について探ってみた。

独自の自然農法を早期から実践

クライン ファミリー セラーズについては、「持続可能な農業における先見性」がよく語られる。

今や「オーガニック」や「サステナブル」は当たり前に語られる言葉となり、多くの生産者が何かしらの有機的なアプローチを目指している。しかしクライン家は1982年の創業当初から、農薬や除草剤は一切散布せず、地中の生態系を守り、除草を行ってくれるヒツジやヤギと共存しながら健康なブドウを育て続けてきた。2000年には、「グリーン・ストリング」という、生物多様性と自然のプロセスをさらに促進・強化する農法を開発している。

その先見力の所以を尋ねたところ、「7人の子供たちを農薬まみれの畑で遊ばせることはできません。ですから、彼らに害のない健全な畑を目指しただけです」と当然のごとく語るナンシー・クライン。一番身近な家族の安全と未来を守るための選択が、今の時代に繋がっているのだと言う。
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