欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は、メタが導入したペイ・オア・コンセント(費用を支払うか同意する)型の広告モデルが、EUのデジタル市場法(DMA)に抵触すると述べている。メタがEUの規制に対応するために導入したこの仕組みは、ユーザーに広告付きの無料サービスの利用を継続するか、有料の広告なしプランに移行するかの選択肢を与えるものだ。
欧州委員会は、メタのこの「二者択一」の仕組みは、ユーザーに個人情報の広告利用への同意を強いるものであり、「個人設定を弱めつつ同等の機能を提供するバージョン」を提供していないため、DMAの規則に違反すると述べている。
DMAの下では、「ゲートキーパー」と呼ばれる大規模なテクノロジープラットフォームは、ユーザーの個人データを広告に利用する場合に同意を求めなければならず、同意を拒否する人に対しては、同等の内容の「より個人を特定しない代替案」を提供すべきとされている。
欧州委員会は、今回の調査結果はまだ暫定的なものであり、メタは、2025年3月25日に最終決定が下される前に、当局の調査を検証し、弁護を行うことが可能だと述べた。
「広告を表示しない有料サービスは、欧州最高裁の指示に従ったものであり、DMAにも準拠している」とメタは声明で述べ、「欧州委員会と建設的な対話を重ね、この調査を早期に終結させたい」と付け加えた。
メタの昨年の年間収益は1350億ドル(約21兆8000億円)だった。DMAに基づく罰金は、初めての違反の場合には世界全体の収益の10%を上限としているため、同社が支払う罰金は最高で135億ドル(約2兆2000億円)に達する可能性がある。
欧州委員会は近年、主に米国のハイテク大手を標的にし、小規模な競合他社に公平な競争の場を提供しようとしている。DMAの規則は、EUでの事業展開を希望する企業に大幅な変更を強制し、それに従わない場合は巨額の罰金を科すことができる。違反に対する罰金は、世界の年間売上高の10%とされ、違反を繰り返す場合は20%にまで引き上げられる。
(forbes.com 原文)