AIが世界の電力網を圧迫するとの懸念は高まるばかりだが、ゲイツは気候変動目標の達成に関しては、AIは障害どころか助けになると考えている。
2050年のネットゼロ達成は不可能
一方でゲイツは、AIとクリーンテクノロジーが進歩しても世界は2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするとの気候目標を達成できず、さらに最大15年を要する可能性が高いと指摘した。「一般論として、エネルギー移行に必要なグリーン電力量は、私たちが必要とするほど早く実現しないだろうとの懸念がある。2050年までにネットゼロをめざす計画をいざ立てようとすると、『あと10年か15年かかると考えるほうが現実的かもしれない』と気づく。予測は難しい。ただ、2050年までにゼロにできるとは思えない」とゲイツは語っている。
ブレークスルー・エナジーは、世界の温室効果ガス排出量を削減するために、クリーンテクノロジーや持続可能なエネルギー技術を開発する100社以上の企業に投資している。同じくゲイツが設立した米企業テラパワーは、次世代型原子炉の技術設計と開発を行っている。
ゲイツは今年3月、エネルギー関連企業が集積する米テキサス州ヒューストンについて、“エネルギーのシリコンバレー”として発展する可能性を秘めているとして「英雄的な取り組みがこの地で始まっている。その事実にとてもわくわくしている」と称賛した。
と同時に「だが、エネルギー転換への挑戦がどれほど想像を絶する困難をともなうのかを過小評価すべきではない」とくぎを刺し、ネットゼロへの道は自身がマイクロソフトで取り組んできたどんな課題よりも「はるかにずっと難しい」ものになるだろうと語った。
(forbes.com 原文)