国内市場に甘んじてきたJ-POP
これまでの邦楽アーティストは、ヒット曲に恵まれれば、国内市場だけで莫大な利益を得ることができていた。1980年代後半から国家戦略としてK-POPを海外展開してきた韓国と比べ、日本は自給自足の国内市場に甘んじてきた。そのため、海外でのライブやフェスに出演する場合もほとんどが招聘されるのではなく、渡航や設営経費は自弁。キャスティング業者に報酬を支払ってセッティングされることも多く、その目的はあくまで現地ではなく、国内向けのプロモーションであることが大半だった。例外として、ヘビメタで世界各国のファンを獲得したBABYMETALといったアーティストは存在するが、基本的に海外公演は自費による赤字公演が通例で、海外公演をすることによって国内での評価を高め、媒体露出やSNSでの盛り上がりに期待することを主な目的としていた。
だが、国内市場の縮小にともない、国内のみを対象とした経営方針では所属事務所やレーベル会社の先細りが現実化してきた。そのため、今まで主にアニソンに依存して来た海外市場をJ-POPアーティストによって本格的に開発し始めたのである。