コロナ感染、なぜ増えている?
昨年12月から今年5月まで、全米の新型コロナ感染の主流はオミクロン株から派生した変異株JN.1だった。しかし、この2カ月間で、JN.1から新たに派生した3つの変異株KP.3、KP.2、LB.1が感染例の70%以上を占めている。通称「FLiRT(フラート)」と呼ばれるこれら3つの変異株は、ワクチン接種によって作られる抗体が標的とするスパイクたんぱく質をコードする遺伝子に複数の変異があり、免疫系をより効果的に回避し、より効率的に感染を広げる可能性がある。今年に入ってからまだワクチン接種を受けていない人や、半年以上前に自然感染した人は、KP.3、KP.2、LB.1に対する免疫が低い。これが、今夏の感染拡大の一因となっている。
「FLiRT」は重症化につながるか?
幸いなことにKP.3、KP.2、LB.1への感染が重症化につながることを示唆するエビデンスはない。大半の感染者は、のどの痛み、発熱、咳、体の痛み、疲労感など、これまでの変異株と同様の症状を経験する。ただし、感染者数の増加とともに、高齢者や免疫力が落ちている人に感染が広がりやすくなっており、そうなれば重症化事例も増えるだろう。こうした人々が感染すると、呼吸困難を発症し入院が必要になるおそれがある。
2024年を安全に乗り切るための3ステップ
コロナ感染が再拡大する今夏、自分自身と周囲の人々の安全を守るためにできる対策がある。まず、体調が悪いと感じたら、自宅で抗原検査をしてみることだ。陽性反応が出たら、症状が治まるまで他の人との接触を避けよう。症状があるのに抗原検査キットで陰性だった場合は、医療機関でPCR検査を受けることを検討しよう。
次に、夏の間に大勢で集まって楽しむ催しを企画するなら、屋外で開催するようにしよう。風通しのよい屋外空間なら感染リスクが低くなる。暑さのため屋内を会場にせざるを得ない場合は、ゲストに事前に抗原検査を呼びかけることも検討しよう。
最後に、秋になったら最新のワクチンを接種しよう。米食品医薬品局(FDA)は先日、今後のワクチン製剤においてはJN.1系統に加え、可能であればKP.2系統も標的とするよう製薬会社に勧告した。新しいワクチンは今秋に接種できるようになる予定で、最近流行している変異株に対してより優れた抗体反応が得られる。感染予防の点でも、何より重症化を防ぐためにも、ワクチン接種が最良の手段であることに変わりはない。
(forbes.com 原文)