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2024.07.02 11:00

【米国株ウォッチ】バフェットも長年保有するアメリカン・エキスプレスを分析

Silas Stein/picture alliance via Getty Images

米クレジットカード大手、アメリカン・エキスプレスの株価(ティッカーシンボル:AXP)は、S&P500種株価指数が年初来で15%上昇したのに対し、同期間で23%上昇した。対照的に、アメリカン・エキスプレスの同業であるキャピタル・ワンの年初来の上昇率はわずか5%だった。

AXPは米国時間6月28日現在、一株当たり約231ドルで取引されており、私たちが算出した目標株価の228ドルをわずかに上回っている。

株価パフォーマンス

AXPは2021年1月初旬につけた120ドルから、現在の230ドル前後の水準まで約90%という極めて力強い上昇を見せている。驚くべきことに、AXPは過去3年間、いずれも市場全体をアウトパフォームしている。2021年のリターンは35%、2022年はマイナス10%、2023年は27%であった。これに対し、S&P500のリターンは2021年に27%、2022年にマイナス19%、2023年に24%である。

直近決算は好調

アメリカン・エキスプレスは、2024年度第1四半期の決算で市場予想を上回る業績を達成した。非金利収入の6%増と純金利収入の26%増に牽引され、売上高は前年同期比11%増の158億ドル(約2兆5000億円)となった。非金利収入の伸びは主に、プレミアムカードの会員数増加により会費収入が6%増加したことが寄与した。同様に、カードローン残高が増加し、その利ざやも拡大したことにより、純金利収入も増加した。コスト面では、当四半期の貸倒引当金繰入額が前年同期比で20%増加し、損益上のマイナス要因となった。しかし、このマイナスの影響は、粗利益に対する非金利費用の割合が低下したことで相殺された。その結果、当期純利益は前年同期比34%増の24億ドル(約3865億円)となった。

2023年度通期の売上高は、非金利収益の10%増と純金利収益の33%増に牽引され、前年度比14%増の605億ドル(約9兆7450億円)となった。費用面では、貸倒引当金繰入額が前年度比2倍以上の49億ドル(約7893億円)に増加した。しかしそのマイナスの影響は、非金利費用の割合が売上比で低下したことにより一部相殺された。

今後の動向

アメリカン・エキスプレスの業績は、第2四半期も同じく好調と予想されている。第2四半期の売上高とEPS(1株あたりの純利益)の市場予想は、それぞれ165億9000万ドル(約2兆6728億円)と3.22ドルである。また、2024年度の年間売上高は663億6000万ドル(約10兆6918億円)に達し、利益率も前年度並みを維持することで、調整後の純利益は92億ドル(約1兆4820億円)、EPSは12.94ドルになると見られる。私たちはこのEPSに18倍のPER(株価収益率)を掛け合わせ、冒頭でも紹介した228ドルの目標株価を設定した。

翻訳=江津拓哉

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