ニュースサイトThe Informationは先日、アップルがバッテリーの取り外しを容易にする電気的誘導接剤剥離(electrically induced adhesive debonding)という新たな技術を開発していると報じた。
現状のiPhoneからバッテリーを取り外す場合は、シャーシに接着されている接着ストリップを引き抜くための技術が必要で、経験のない一般ユーザーには容易ではない。しかし、アップルは、小さな電気ショックを与えることでバッテリーを取り外せるテクノロジーを開発して、この状況を変えようとしている。
The Informationの情報筋によると、このテクノロジーは今年のiPhone 16の一部のモデルに導入され、2025年のiPhone 17シリーズの全モデルに展開される可能性があるという。
アップルによるこの動きは、欧州連合(EU)が昨年可決した、スマートフォンのバッテリーを「簡単に交換できる設計」にすることを義務づける規制に準拠するためのものと見られている。
他にも、アップルの新たなiPhoneが過去のデバイスと大きく異なるものになることを示唆する密かな変更がいくつかある。
例えば、再設計されたiPhone 15の内部シャーシは、ガラスを割ることなくバックパネルを取り外しやすくしている。アップルは昨年、自宅でデバイスを修理しやすくする「セルフサービス修理プログラム」を導入し、現在はその一部がヨーロッパでも拡大されている。
さらに、アップルの新たなパーツペアリングのポリシーによって、iPhoneユーザーはアップルの承認なしに部品を交換できるようになる。iPhone 16から適用されるこの変更は、米オレゴン州などで成立した「修理する権利」の法への対応と見られている。この法律は、メーカーが未承認の修理が行われた場合に機能を無効にすることを禁止している。
アップルの次のiPhoneがこれまでの端末の中で最も修理しやすいものの1つになることは喜ばしいニュースだ。修理のコストが下がれば、ユーザーはお金を節約できるし、1つの端末を長く使い続けられる。さらに、バッテリーの交換が容易になることも歓迎したい。現状では、iPhone 14のバッテリーを交換したい場合は、アップルに99ドル(日本では1万5800円)を支払う必要があるが、今後はこのようなコストもなくなるのだ。
(forbes.com 原文)