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2024.07.01 13:00

米ナイキ、株価急落で時価総額4.4兆円喪失

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スポーツ用品メーカーの米ナイキの株価は6月28日、約20%急落し、公開企業としての44年の歴史の中で最悪の日を記録した。この急落により同社の株価は、新型コロナウイルスの感染が広がった2020年3月以来の安値となった。

下落のきっかけは、ナイキが27日午後に発表した決算で、5月末までの四半期の売上高が2%減少し、通期では10%の減少が予想されると警告したことだった。この予想は、アナリストのコンセンサス予想の3%減をはるかに下回った。

ジェイ・ソール率いるUBSのアナリストは、28日の顧客向けレポートで「ナイキのファンダメンタルズのトレンドは我々が認識していたよりもはるかに悪い」と述べ、「収益の迅速な回復は期待できない」とした。UBSは、ナイキ株の評価を「買い」から「中立」に引き下げた。

ナイキは、来年5月に終了する会計年度で、売上と利益の減少を報告すると予想されている。その多くは、中国市場の低迷に起因しており、アナリストは2021年の記録を10%下回ると予測している。

スポーツウェアとスニーカー会社は現在、厳しい時期にあり、ルルレモンの株価は過去3年間で17%下落し、アディダスとアンダーアーマーの株価も、それぞれ26%と68%下落している。また、アップルのような中国への依存度が高い多国籍企業も苦戦を強いられている。

ナイキはまた、自社製品に対する消費者の関心の低下にも直面している。ゴールドマン・サックスの調査によると、昨年7月以来、ナイキのグローバルでの月次の検索ボリュームは、前年比で減少しており、先月は約10%減少していた。

ジェフリーズのアナリストのランダル・コニック率いるチームは、「スポーツアパレルとフットウェア分野では競争が激化している」と指摘し、Alo(アロー)やHoka(ホカ)のような新興ブランドをナイキの市場支配への脅威に挙げた。

オレゴン州に拠点を置くナイキの株価は、2013年以来で最低の株価売上高倍率(PSR)で取引されており、同社の利益成長力に対する投資家の信頼の低下を示している。

ナイキの時価総額は、28日の株価の急落で275億ドル(約4兆4000億円)減少し、現在は1136億ドル(約18兆3000億円)となっている。同社に次いで時価総額が高いスポーツウェア企業は、アディダス(430億ドル)とルルレモン(同380億ドル)だ。

ナイキの株価は過去3年間で48%下落しており、配当を含むリターンは、S&P500種株価指数の同期間におけるリターンである34%を大きく下回っている。

「投資家は、ナイキの回復のストーリーに忍耐強く付き合わなければならない」と、エバーコアISIのアナリストのマイケル・ビネッティ率いるチームは書き、ナイキ株の買い評価を維持している。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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