マイケルズ本人は五輪会場にもNBCのスタジオにも登場しない予定だが、NBC傘下の動画配信サービス「ピーコック」のアプリでは、AI生成されたマイケルズのナレーションで大会中の各日のハイライト動画を視聴できる。
NBCによると、マイケルズの人工音声が使われるのは「Your Daily Olympic Recap」と呼ばれるアプリ機能。視聴者が見たい競技の名前などを入力すると、NBCの配信する五輪関連動画の中からパーソナライズされたプレイリストを作成できる。各コンテンツは「品質と正確性を保つため」配信前にNBCの編集者がチェックする。
NBCのプレスリリースの中で、マイケルズはAIで自分の声を再現するアイデアを最初に聞いたときは「懐疑的ではあったが、間違いなく興味も持った」と明かし、デモ音声を聞いて「参加を決めた」と語っている。
マイケルズは米国の名物スポーツキャスターで、五輪中継の名実況で知られる。NBCでは2010年冬季五輪から16年夏季五輪まで4大会連続で司会を担当し、それ以前はABCで五輪実況に携わっていた。近年はNBCの番組ではスポーツ実況の第一線から退いているが、現在も名誉職として局に在籍している。
マイケルズの名実況の中でも最も有名なのが、1980年の米レークプラシッド冬季五輪のアイスホッケー競技で、当時最強を誇った旧ソ連代表をアマチュア主体の米国代表が破った瞬間のコメントだ。マイケルズは「あなたは奇跡を信じますか? もちろん!(Do you believe in miracles? Yes!)」と叫び、これがきっかけで、この勝利は「氷上の奇跡」とたたえられるようになった。
最近は、Amazonプライムビデオで配信されるナショナルフットボールリーグ(NFL)の木曜夜の試合中継「サーズデーナイトフットボール」で実況を務めている
NBCのパリ五輪中継では、元NBAチャンピオンのドウェイン・ウェイドや五輪ビーチバレーで金メダルを3回獲得したミスティ・メイトレーナー、五輪で通算28個のメダルを獲得した競泳のマイケル・フェルプスらが解説を務める予定。
NBCは2014年に76億5000万ドル(当時のレートで約7800億円)を投じ、2032年まで五輪放映権を延長する契約を国際オリンピック委員会(IOC)と締結した。
(forbes.com 原文)