一方、エマニュエル・マクロン仏大統領とパリ市のアンヌ・イダルゴ市長は、セーヌ川では数十年にわたる浄化活動が継続中であり、開幕までに水質は改善されるとして強気の姿勢を崩していない。
パリ市の水道事業を担う公営企業オー・ド・パリは28日、セーヌ川の4つの異なる水域で行った水質検査において、3週連続で危険な水準の大腸菌汚染を検出したと発表した。うち1つの水域では、国際競技連盟ワールドトライアスロンが定める水質基準の上限の2倍を超える濃度の汚染が確認されたという。
AFP通信によるとパリ市長室は、このところのセーヌ川の水質悪化は平年を上回る気温や降雨量といった「好ましくない」条件が続いているためだと主張している。
これに先立ち、水質調査活動を行う国際環境NGOサーフライダーファウンデーションヨーロッパも、五輪とパラリンピックでのトライアスロンとマラソンスイミングの競技スタート地点を含むセーヌ川の2地点で昨年9月~今年3月に採取した水サンプル14件の水質を検査したところ、いずれも欧州連合(EU)の規制で遊泳可能な基準を満たしていなかったと発表していた。
パリ五輪大会組織委のトニー・エスタンゲ会長は「セーヌ川の使用は可能だと確信している」としながらも、大雨によって大腸菌の濃度が上昇する可能性に言及し、「泳げないという最終判断もあり得る」と述べたと報じられている。
国際オリンピック委員会(IOC)も、米NBCニュースに寄せた文書の中で、水質汚染があまりにもひどい場合はトライアスロンを中止するか、ランニングとサイクリングのみを行うデュアスロンに変更する可能性があると明らかにした。
パリのピエール・ラバダン副市長(五輪担当)は米紙ニューヨーク・タイムズに、もしもパリで「競技前に1週間連続で」降雨があれば、セーヌ川の水質は「おそらくすばらしいものにはならないだろう」と語った。