ディオールは、刑事上の罪には問われなかったものの、「実際の労働条件や下請け会社の技術的能力を調べる適切な判断」を怠ったとの過失が認められた。
裁判所の調査はまた、このような非倫理的な生産慣習がイタリア全土で組織的に行われており、同国では数千もの小規模な外国資本の製造業者が、誇らしく「イタリア製」を謳いながら「中国製」の価格で製造された商品を高級ブランドに供給していると主張する。
高級ブランドがより高い利益を生み出そうとする中で、「これは単一の製品ロットに関係する散発的なものではなく、製造の方式に統合され、広く用いられているものだ」と文書には記されている。
イタリアの法律では、製造を委託する企業にはサプライヤーを適切に監督することを義務付けていることから、他の数十にのぼるファッションブランドのサプライチェーンも調査中であると、ロイターは報じている。
自浄が求められる高級品業界
「アルマーニやLVMHのファッションブランドであるディオールのような、高級ファッション産業のサプライチェーンに対して行われている最近の調査は、業界のトップ企業が意味のある変革に早急に取り組む必要性を浮き彫りにしています。人権侵害に基づいた高級ファッションのビジネスモデルは、もはや容認できるものではありません」と、イタリア・ヴェネト州アーゾロを拠点とするシンキング・ディメンションズ・グローバル・コンサルティングの業務執行社員、スコット・ニュートンは述べている。この判決は、高級ブランドが盛んに喧伝している「環境(environmental)・社会(social)・ガバナンス(governance)に配慮する方針」に疑問を呈するものであると、ニュートンは言う。企業の環境に関する問題に取り組む態度が欺瞞的であるという主張は、「グリーンウォッシング」と呼ばれ、ありふれたものではあるが、環境問題は潜在的な影響を先送りにした人類存亡に関わる脅威である。しかし、人権侵害は、今ここにいる人々に影響を及ぼしている現実だ。ディオールはコメントの求めに応じなかった。