2410|辻本憲三
1:カプコン 2:12億ドル 3:83歳ゲーム制作会社カプコンの代表取締役会長兼CEO。米カリフォルニア州に醸造所「ケンゾー エステート」を所有する。
「Forbes JAPAN 2015年7月号」で、私財をどのように使うか、その哲学について語った辻本憲三。ワイン醸造を始めた理由について「道楽だったら、こんなことはしませんよ。自分と友達の分だけワインをつくれば済む話」と話す。10円の商品を売る駄菓子屋からスタートして、「懐以上のことをすれば失敗する」を信条に商売をしてきた辻本。重要なのは、リスク管理だという。それは、「ビジネスとは、問題があるところを早く見つけて解決すること。うまくいっているところは放っておいてもいい」ということでもある。その点は、ゲーム制作もワイン造りも本質的には変わらない。カプコンとケンゾー エステート。世界的な成功には「理由」があるのだ。
2410|中谷忠子
1:シスメックス 2:12億ドル 3:-医療検査機器メーカーのシスメックスを創業した中谷太郎の妻。同社は、2000年には東京証券取引所第一部に昇格した。
2545|襟川恵子
1:コーエーテクモホールディングス 2:11億ドル 3:75歳コーエーテクモホールディングス代表取締役会長。1978年に前身の会社を創業。ソフトバンクグループの社外取締役も務める。
2545|襟川陽一
1:コーエーテクモホールディングス 2:11億ドル 3:73歳コーエーテクモホールディングスの代表取役社長。前身のコーエーを創業し、「信長の野望」や「三國志」を世に送り出す。
2545|岡田和生
1:ユニバーサルエンターテインメント 2:11億ドル 3:81歳パチンコ遊技機を製造するユニバーサルエンターテインメントの創業者。フィリピンで統合型リゾート事業も運営している。
2410|宇野康秀
1:U-NEXT 2:12億ドル 3:60歳U-NEXT HOLDINGS代表取締役社長CEO。インテリジェンス(現パーソルキャリア)を創業。USEN社長を経て17年より現職。
いかにして、宇野康秀はマイナスから出発してビリ. オネアになったのか
ビリオネアの多くは 0 → 1(ゼロイチ)か、1 - 1 0(イチジュウ)で財を成している。その点で、マイナスから出発した宇野康秀は一線を画す。本誌のインタビューで、宇野はリーダーを「未来を読み、描き、そこへたどり着ける地図を描ける人」と定義している。そのリーダー像は自身の経験にもとづく。大阪有線放送社(現USEN)の創業者を父にもつ宇野だが、リクルートコスモスで働いたのち、「絶対に家は継がない」と約束して仲間とインテリジェンス(現パーソルキャリア)を立ち上げた。1998年、父の元忠が病に倒れたことで事態は急変する。「会社を継いで欲しいんや」という元忠だったが、大阪有線は電柱に無断で有線のケーブルを引き、郵政省(当時)と敵対関係にあった。その数は実に720万本。父親が亡くなれば、会社は倒産し、1万人の社員とその家族は路頭に迷う。撤去と会社の正常化のために500億円の資金が必要である。また、父親の個人保証の債務800億円も返済しなければならない。仲間と興した会社を離れる葛藤に悩んだ末、98年、宇野は社長に就任。全国の電柱からケーブルを撤去する“ 撤退戦 ”を断行しながら、アナログからデジタルに突き進む日本の中で新たな市場を切り開き、2014年の上場に漕ぎ着けたのだ。その顛末を収めた『起業家の勇気USEN宇野康秀とベンチャーの興亡』(文藝春秋刊)の著者、ジャーナリストの児玉博は宇野を「社会から消えると思われていた会社をあきらめない。その熱情を枯渇させず、自分で自分をドライブできる人」と評する。「インテリジェンス時代の部下、藤田晋さんが『朝いちばんで会社に行くと、ダンボールの上でよく宇野さんが寝てました』と言うほど努力の人」(児玉)。
宇野は、本誌にこう語っている。「『この事業で社会を変えたい』といった思いは必要です。ただ、それは前提に過ぎない。思いに現状分析や自己分析が加わるからこそ、思いは自信や情熱へと置き換わっていく。分析のない思いは、ただの思い込みです」。