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経営・戦略

2024.07.09 13:30

栄養士も時短社員も活躍。全国の食堂を支えた「チーム営業」

進捗段階に応じて運営と対応を分担すると同時に、各タスクに必要なナレッジを補完することで、営業の効率が格段にアップ。昨年5月にナレッジワークも導入してDX化を加速させると、商談数はツール導入以前の1.5倍にも増えた。

生産性向上に加えて森田がこだわったのは「チーム営業」をすることだ。

「社員食堂ひとつとっても、規模やメニュー、厨房環境、内装など、企業ごとに求める要素は異なってきます。利用者の満足度や運営側のオペレーションなど、配慮が必要な項目もさまざまですから、イメージだけで実用的な営業提案をするより、いろいろな人がもつ経験や視点が加わったほうが、より良いものをつくることができる。なので、“営業にチャレンジしたい人は誰でもウェルカム”と伝えたのです」(森田)
 
そうして栄養士や調理師など専門的な知識をもった人材も積極的に営業へ登用。また、案件ひとつに対して最小3人でチームを組み、いつでもカバーしあえる環境を整えることで、育児や介護を理由に時短勤務を希望する社員も営業職で活躍できるようになった。
 
ホテル運営の現場を経て営業総括室室長を務める末廣久美子は、その効果についてこう話す。

「以前はフィールドセールスの9割以上を男性社員が占め、女性社員は3〜4人しかいなかったのですが、森田の着任後、部内の男女比は7:3まで改善されました。人事評価制度も、これまで営業一人ひとりに設定されていた目標値がチームで目指すものへと変更され、成約までのプロセスから評価してもらえるようになりました」

チーム営業が社員のキャリアや働き方の選択肢を増やすことにもつながっているのだ。

コロナ禍を乗り越えた現在も、食材価格の高騰や人手不足、ウェルビーイング、フードロス削減など、課題が絶えない給食業界。営業はこれから何を意識していくのかと問うと、森田はこう語った。

「我々がつくるサービスはひとつとして同じものがありません。常に新しい挑戦が求められる営業だからこそ、日ごろからさまざまな成功例を共有し、いつでもポジティブな提案ができる環境をつくっていきたい。そのためにも、社内の雑務にかかる時間を減らし、お客様のために使える時間をもっともっと増やしていくことが目標です」


もりた・あきら◎執行役員 営業開発本部長。(写真中央)

すえひろ・くみこ◎営業開発本部 営業総括室 室長。(写真右)

いしかわ・たつや◎関連事業営業開発部 複合営業開発室 スーパーバイザー。(写真左)

文=眞板響子 写真=吉澤健太

この記事は 「Forbes JAPAN 2024年7月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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