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2024.07.01 10:00

「ゴミを食べ、ゴミを吐く」、ベゾスも出資するAI検索エンジンの品質問題

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人工知能(AI)検索エンジンのPerplexity AI(パープレキシティAI)は、自社のサービスがChatGPTのような生成AIツールとは異なると主張している。サンフランシスコを拠点とする同社は、ユーザーが質問を入力すると、独自のAIモデルを用いてインターネット上の最新情報に基づく回答を生成する。また、回答にはその引用元を添える点が特徴だ

パープレキシティのCEOを務めるアラヴィンド・スリニヴァスは、「引用は私たちの信頼の源です」と、4月に行われたフォーブスによる取材の中で語る。

OpenAIの研究者だったスリニヴァスが2022年に設立したパープレキシティは、これまで1億7000万ドル(約270億円)以上を調達しており、ソフトバンクグループは、同社との戦略的提携を発表したのに続いて、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2を通じて30億ドル(約4820億円)の評価額で出資を検討中と報じられている。

パープレキシティの投資家には、ジェフ・ベゾスやYouTubeの元CEOであるスーザン・ウォジスキ、OpenAIの共同創設者のアンドレイ・カルパシー、メタのチーフサイエンティストであるヤン・ルカンなどが含まれる。同社の会話型検索エンジンは、急速に支持を集め、エヌビディアのジェンスン・フアンCEOや、デル創業者兼CEOのマイケル・デルなど約1500万人のユーザーを抱えている。

しかし、同社がジャーナリストが書いた記事を盗用したとして非難される中、AIが生成した不正確な内容のブログを「信頼できる情報源」として引用していることをフォーブスは発見した。

AIを使用したコンテンツを検出するGPTZeroが実施した研究によれば、パープレキシティの検索エンジンは旅行やスポーツ、食べ物、技術、政治など、多岐にわたるトピックに関するAIが生成したブログ記事を引用している。この研究は、97%の精度でAIの使用を検出するGPTZeroのソフトウェアを使用して行われた(フォーブスは、99%の精度を持つ別の検出ソフトのDetectGPTを使用してその評価を確認した)。

GPTZeroの研究で、パープレキシティのユーザーは平均3回のプロンプト(命令文)の入力でAIが生成した情報源に遭遇することが判明した。「彼らのサービスの質は、その引用元の質に依存している。情報源がAIのハルシネーションによって生み出されたものであるなら、その出力も同様だ」とGPTZeroのエドワード・ティアンCEOは語る。

「矛盾する情報」を提供

パープレキシティの最高ビジネス責任者(CBO)のドミトリー・シェヴェレンコは、フォーブスへのEメールの声明で、同社のシステムが「完璧なものではない」と述べ、関連性の高い高品質な情報源を特定するプロセスを洗練させることで検索エンジンを継続的に改善していると述べた。パープレキシティは「信頼スコア」を使用して情報源を分類し、スパムが大量に含まれるウェブサイトを排除しているという。

一方、複数のシナリオで、パープレキシティは、AI生成のブログの投稿を引用してヘルスケア関連の情報を提供している。例えば、「細菌への感染を治療するためのペニシリンの代替品」に関する情報を求めた場合に、この検索サービスは、Penn Medicine Becker ENT & Allergyと呼ばれる医療クリニックが運営するAI生成のブログを直接引用した。
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編集=上田裕資

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